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採用環境から考える新たな経営リスク

 【コンサルタント:金入 常郎】

前回の私のコラムで、
①理念・ビジョンが浸透した組織になるかどうかは、経営者が自社の採用に対して「正しい手間」をかけているか。
②「正しい手間」とは「何のために採用をする必要があるのか?」について検討がしっかりとされているか。
という事がカギになるというお話をさせて頂きました。

今日は、現状と今後の採用環境から見えてくる新たな経営リスクについてお話をしたいと思います。

言わずもがな現在の日本の採用環境はとても厳しい状況です。2016年12月時点での有効求人倍率は、1.43。1991年以来25年ぶりの高水準です。有効求人倍率というのは、求職者1人あたりに何件の求人があるかを示すもので、現在であれば求職者1人に対して、1.43件の求人があるという状態です。ですので、求職者側も企業側も選ばなければ、全員に仕事があるという状態と言えます。
その一方で、日本の生産年齢人口(15~64歳)は2016年に7683万人となり、ここ10年で1割が減少するという状況。2027年には、7000万人を割り込むと言われています。

「人口は減っていくが、人は採用したい」
そんな状況が今後も続いていく事は予想に難しくありません。

もう1つ見ておきたい事象が、AIなどの技術の進化についてです。メディアで取り上げられない日はないというくらい、進化のスピードが速まっている印象があるこの分野ですが、企業の採用に与える影響として以下の2点が考えられます。

①AIやロボットに既存の人間の仕事が奪われる。

これも様々なメディアで議論されているところで、どの職種がという事はここでは取り扱いませんが、既にアメリカでは裁判で、判例の分析や証拠の整理などを行う際にAIが使用されており、若手弁護士の仕事はAIにとって代わられていると言われています。

②優秀な人材とそうではない人材の二極化が大きく進む。

①のような状況が進んでいくと、AIをつくる・使う高度な能力が求められる人材とAIに仕事が取って代わられる人材の2二極化が今後大きく進んでいく事が考えられます。

そういった状況になると、企業にとってどのような影響があるのか?

それは、「優秀な人材がさらに採りづらい状況になる」という事です。人を採用したいが人は減っていき、なおかつ二極化が起こるので、優秀な人材のパイは限られてしまう状況。

そういった意味で、これからの時代は、優秀な人材の獲得競争合戦になると言えます。さらに言えば、自社にとっての優秀な人材が採用できるかどうかで、会社の存続・拡大が左右される、そんな時代が到来しているとも言えます。これは決して大きな企業に限った事ではないと考えています。例を挙げれば、中堅・中小企業にとっての事業承継の問題や経営幹部(No.2)の育成の問題もその1つではないでしょうか。

そしてさらに、今後企業が考えなければならない新たなリスクがあります。それは「優秀な人材に辞められるリスク」です。私の次回のコラムでは、そのテーマについてお話していきたいと思います。

【金入 常郎(かねいり つねお)】
株式会社小宮コンサルタンツ チーフコンサルタント
早稲田大学社会科学部卒業。経営支援システムの導入コンサル及び、採用・教育コンサルを経て現職。これまで、経営支援システム構築、業務改革、組織活性化、ブランディング、新規事業立ち上げなど様々なコンサルティングやプロジェクトに携る。現在でも戦略立案、品質向上、採用など、お客さま先での各種プロジェクトの支援や会計、マーケティング、お客さま第一主義など各種研修に携わっている。
■担当分野:戦略立案、組織強化、採用支援

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