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「経営に必要なコンピテンシー:後継者を育成する力(2)」

【コンサルタント:藤本 正雄】

前回に引き続き、「後継者育成」の要素について取り上げたいと思います。今回は、「成長機会」の創出について考えてみます。

<前回のコラムはこちら>

http://komiya.i-diffuser.com/baton/1113/

後継者の成長機会は大きく、社内で得られるものと社外で得られるものに分けられます。そして、社内で得られる主なものは次のように整理できます。

(1)自身による直接指導・引継ぎ

自身の役割を遂行する上での心構えやノウハウなどを直接指導し伝授します。ある日突然後継者にバトンを渡しても、その後継者はすぐには役割発揮できないでしょう。候補者に対して相応の期間をとり、方法論や自身の経験などを計画的に伝えます。また、自社や自部門の経営状況(外部・内部環境)、今後の事業計画など、自身の役割を引き継ぐ上で必要となる重要な経営情報も理解を促していきます。

(2)業務の割当やローテーション

後継者本人にとってチャレンジングな業務を割り当てていくことで、当該ポジションの遂行能力を少しずつ高めていきます。自身の業務の一部を段階的に委任していくのも有効でしょう。経営層の後継者の場合には、部門間のローテーションにより、社業や社内の業務プロセスをより深く掌握し対外交渉や社内リーダーシップが発揮できるような教育も必要でしょう。「サクセッション(継承)プラン」と称し、疑似的に経営の意思決定を任せる特定プロジェクトを発足させ、経営幹部としての心構えを身につけてもらう取り組みをする企業もあります。

(3)研修などのOff-JT

社内講師や社外講師により、当該ポジションに求められるスキル面、マインド面の育成を行います。どんな要素をOff-JTにより育成する必要があるのか、人事部門と連携しながら企画し実行します。自身・自社・自部門の現状把握や課題設定を客観的に行う上では、社内研修だけではなく社外研修に後継者を参加させ、外部人材と切磋琢磨してもらうことも大変有効です。 これらは相応の時間とエネルギーを要します。上位のポジションになるほど負う責任範囲は広くなるため、その後継者を育成するのにも必然的に時間がかかります。

GEでは各階層で自分より優秀なリーダーを育成することが使命とされ、人材育成に毎年10億ドルを投資し、経営幹部層は執務時間の3分の1を人材育成に充てているそうです。ジェフ・イメルトCEOをはじめ各部門責任者は、研修センターで自ら教鞭をとったり、社員との直接対話やトレーニング・プログラムでの講義に相当な時間を充てたりしているそうです(「GEレポートジャパン」より)。もちろん、このことはGEと経営事情の異なる各社にそのまま適用するわけにいきませんが、企業が成果を創出する人材を継承し続けるための取り組みとして参考になるのではないでしょうか。後継者育成の大前提として、育成の重要性や上記のようなエネルギーを投じることへの理解、それを自ら体現していくことへの熱意が求められると考えます。

(続きは、次回の筆者コラムにて掲載します)

【藤本 正雄 (ふじもと まさお)】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルタント
豪州ボンド大学経営学修士課程卒業(MBA)。人材育成専門機関、事業会社の人事部門、組織人事コンサルティング会社を経て現職。経営的視点に加え、産業カウンセラーとして社員個人の視点も踏まえたマネジメントへの示唆にも定評がある。異文化事情にも明るい。人と組織に関する様々なテーマに精通し、コンサルティング・研修等で様々な企業・個人への支援を行う。
■担当分野 経営・人事戦略、各種人材マネジメント支援(採用、人事制度、労務管理、キャリア開発、メンタルヘルス等)、テーマ別スキル育成

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