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不正を生み出す要件を防ぐ

以前のコラムで企業の不正問題について取り上げました。それ以降も、世間から注目を集める大きな不正問題が、日本を代表する企業から相次いで発覚しています。

<以前のコラムはこちら>

不正のトライアングル



今回は、上記コラムでも取り上げた「不正のトライアングル」の考え方に沿って、不正問題が起こる背景について一歩踏み込んで考えてみたいと思います。「不正のトライアングル」とは、「不正を犯す動機・プレッシャーの存在」「不正を犯す機会の認識」「不正を正当化する理由」が要件として3つ同時成立するときに、人は不正を起こしやすくなるという考え方でした。

あるメーカーは、自社で発覚した不正問題(製品の性能を実際よりも良くみせるためにデータを不正に操作していた)の原因について、次の通りとしています。(NHKニュースウェブ関連記事を参照)
1.関連データの測定が長期にわたって固定した部署で行われ外部のチェックができなかったこと
2.目標(一定の性能を証明する検査結果)達成の責任者が試験に使う製品や日程を十分に確保できない現場の実態を見過ごしていたこと
3.机上での計算を習慣的に行い現場に法令順守の意識が不足していたこと
4.数年前に制定された法令への対応が社内決定され、目標必達が開発現場のプレッシャーとなり不正行為に追いやる原因になったこと
5.経営と現場の情報共有ができなかったことに加えて、『ものが言えない組織風土』や人材の長期固定化などが不正を誘発していたこと

上記1.-5.と「不正のトライアングル」の要件を照らし合わせてみると、下記のように整理でき、3要素がすべて揃う=要件成立していたと考えることができるでしょう。
動機・プレッシャー:4
機会:1.2.5.
正当化:3.5.

3.5.に関しては、「これが慣習になっているんだから、今さらこの検査方法に是非もないよね」「不正は問題かもしれないけど言ってもムダだから」などの発想が、自身や他者の不正行為の正当化につながっていたと想像できるでしょう。

このように、社会的に取り上げられる不正問題の事例について、一歩踏み込んで関連記事に目を通してみて、「動機・プレッシャー」「機会」「正当化」がどのように成立していたのか想像してみるとよいと思います。管理職・社員のどのような言動やそれが生み出す組織風土、会社の仕組みが、「動機・プレッシャー」「機会」「正当化」につながるのか。このことに関する感性を磨くことが、私たち企業人には求められています。他社事例から学ぶことは、感性を磨くよい機会になると捉えることができるでしょう。

【藤本 正雄(ふじもと まさお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
豪州ボンド大学経営学修士課程卒業(MBA)。人材育成専門機関、事業会社の人事部門、組織人事コンサルティング会社を経て現職。経営的視点に加え、産業カウンセラーとして社員個人の視点も踏まえたマネジメントへの示唆にも定評がある。異文化事情にも明るい。人と組織に関するあらゆるテーマに精通し、コンサルティング・研修等で様々な企業・個人への支援を行う。
■担当分野 経営戦略、人事戦略、各種人材マネジメント支援(採用、人事制度、労務管理、キャリア開発、メンタルヘルス等)、テーマ別スキル育成

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