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フィードバックについて考える(2)

前回のコラムで、フィードバックの意義と「事実の通知」の必要性について取り上げました。
<前回のコラムはこちら>

フィードバックについて考える(1)



本コラムでは、「事実の通知」のやり方について深掘りして考えていきます。
効果的で的を射た事実の通知を行うにあたっては、アメリカのCCL(Center for Creative leadership)が提唱した「SBI法」というやり方が参考になります。
・Situation(状況):フィードバックの対象となる行動が起きた時の状況
・Behavior(行動):その行動の具体的な内容
・Impact(結果や影響):その行動がもたらした結果や他者に与えた影響

このSBI法に沿って通知すべき事実情報を明確化、整理した上で、それを伝える時の伝え方として以下3点を踏まえると効果的です。
・即座に伝える(理想的には、その行動を発見した直後)
・「(Youではなく)Iメッセージ」で伝える
・相手に問いかけ相手に結論を出してもらう

「あなた」が主語のフィードバックだと、「(あなたは)力量不足ですね」「(あなたは)○○が問題だと考えていますね」などのように、自分が結論を決めつけてしまいやすくなります。(前回コラムで取り上げた『評価』『提案』『命令』にもなりやすい)
これに対して「わたし」が主語のフィードバックだと、自分が結論を決めずに「私はこう捉えているけど、決めるのはそれを聞いたあなた」にすることができます。例えば、「私には、~のように見えます/聞こえます/受け取れます」などが、「わたし」が主語=Iメッセージの例です。

以上に基づいた、フィードバックの悪い例と良い例を挙げてみます。

悪い例:「こないだのお客様先での商談だけど、あれでは駄目だよね。お客様は君の話聞いてない感じだったし、質問への回答もイマイチだったね。それに、なんで質問への回答があんなに長くなってしまうの?」

「こないだ」=即時性がなく、状況もはっきりしません。「お客様は君の話聞いてない感じ」「イマイチ」を示す具体的な情報もありません。結論も自分で決めてしまっています。これを、事実情報を明確にし「Iメッセージ」に変え相手に問いかける形にすると、例えば以下のようになります。

良い例:「今日のA社様での商談だけど、君が資料で説明しているページと違うページをお客様が見ていたことに、気づいていたかな?質問への回答は、理由の説明が長くて結論が結局何だったのか分かりにくかったように感じたけど、どうかな?」

組織のリーダーは、人事評価や部下育成、会議体での合意形成など、相手に対し的確なフィードバックによる働きかけが求められる場面に日々遭遇します。しかし、多くのリーダーが不明確な事実情報でいきなり結論を伝えることから始めようとしてフィードバックを的確に行えていないという、専門家の指摘もあります。思い当たる方は、「SBIというボールを愛(Iメッセージ)をこめて相手に渡す(ボールを自分で持ったままにせず、問いかけて相手に持たせる)」を、参考にしてくだされば幸いです。

【藤本 正雄(ふじもと まさお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
豪州ボンド大学経営学修士課程卒業(MBA)。人材育成専門機関、事業会社の人事部門、組織人事コンサルティング会社を経て現職。経営的視点に加え、産業カウンセラーとして社員個人の視点も踏まえたマネジメントへの示唆にも定評がある。異文化事情にも明るい。人と組織に関するあらゆるテーマに精通し、コンサルティング・研修等で様々な企業・個人への支援を行う。
■担当分野 経営戦略、人事戦略、各種人材マネジメント支援(採用、人事制度、労務管理、キャリア開発、メンタルヘルス等)、テーマ別スキル育成

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