ホーム > コンサルタントによる<知恵のバトン> > 財務諸表分析のポイント(4)『売上総利益率』

財務諸表分析のポイント(4)『売上総利益率』

今回も引き続き財務諸表分析のポイントについて説明していきたいと思います。今回は企業がどれだけ効率よく稼いでいるかを表す「収益性」の中でも『売上総利益率』について深堀していきます。

売上高から売上原価を引いたものが売上総利益です。そして今回取り上げる『売上総利益率』とは売上高に占める売上総利益の割合を表します。
なお『売上総利益率』=1-『売上原価率』(売上高に占める売上原価の割合)という関係が成り立ち、原価にフォーカスする際には『売上原価率』を使用することもあります。

『売上総利益率』は企業内でどれだけ付加価値を付けることが出来たかを表します。そのため売上総利益率が高いということは、その企業が生み出す商品・サービスがどれだけ魅力的かを表すと言うこともできます。

実務的な観点では、同じような事業構成の競合他社と『売上総利益率』を比較して、自社の方が高い(良い)場合、競合他社よりも販売価格が高いか、原価が安い、もしくはその両方と言えます。一方で自社の方が低い(悪い)場合、競合他社よりも安売りしているか、原価が高い、もしくはその両方と言えます。
また原油価格の高騰や急激な円安の際には、原材料の仕入れ価格が上がり『売上総利益率』は悪化することがあるので、外部環境の変動が激しい場合は利益水準を的確に把握しながら販売価格改定や販売促進費の削減を進めていく必要があります。

管理会計的な視点では、得意先様毎、商品毎などで『売上総利益率』を管理することが重要です。以前ある企業で得意先様毎に、売上高、売上総利益、売上総利益率を算出していただき検証したことがあります。その企業では社内の売上ナンバー1の得意先様の売上総利益率は全体の中で下位グループ、売上総利益でも中位グループであることが判明しました。売上ナンバー1の得意先様なので相当な手間が掛かっているし、担当者も社内のエース級の人材を充てていました。それにも関わらず売上総利益率はおろか売上総利益で見ても大して成果があがっていなかった訳です。
企業内では管理が簡単で分かりやすい売上高で得意先様、商品などを評価することが多いと思います。更に従業員の評価も売上高が中心になることが多いので、より売上高至上主義になりがちです。
勿論、市場における影響力という意味で売上高を意識することは重要ですが、企業の永続的発展のためには利益をしっかり稼ぐ事業に資源を配分することが重要です。

【平野 薫(ひらの かおる) 】
株式会社小宮コンサルタンツ 執行役員
宇都宮大学卒業。キユーピー株式会社、株式会社帝国データバンクを経て現職。帝国データバンクでは年間約400社の調査を実施。優秀調査営業社員に選ばれ社長表彰を受ける。現在は上場企業や公的機関などの幹部・管理職を対象とした教育研修、および企業戦略の立案など各種コンサルティングに携っている。
■担当分野 経営戦略、財務会計、管理会計、マクロ経済、与信管理

  • twitter
  • Facebook
  • Google+
  • LINE