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フィードバックについて考える(3)

前回のコラムで、フィードバックの意義と「事実の通知」の必要性について取り上げました。「事実の通知」とは、SBI(状況、行動、結果や影響)の具体化・言及を、Iメッセージで(相手に結論を出してもらう)、即座に伝えることでした。

<前回のコラムはこちら>

フィードバックについて考える(2)



フィードバックは、「事実の通知」の後に「立て直し」を行うことで完結します。
「立て直し」は、「認識共有の対話」「行動計画作成の対話」「期待の通知」の構成要素に分けて捉えることができます。事実を受けて、これからどうすべきかについて相手から主体的に話を引き出すイメージで行っていきます。

「認識共有の対話」は、SBIに沿って事実情報を的確に通知した後で、その事実に対する認識を共有する(意味づける)ための対話を行うことです。具体的には、話しながら下記を明確にすることです。
・あるべき姿
・現状
・あるべき姿と現状のギャップ(問題)
・問題を生み出す問題行動
・改善の必要性

通知した事実情報は、「起こったこと」です。「起こったこと」は、偶然かもしれませんし必然(再現性のある要因によって起こったことで、今後も継続的に起こりうるもの)かもしれません。何が「起こったこと」を生み出したのか背景となる要素を整理していくことは、「現状」認識に通じます。

整理した現状を、被育成者が今後どのようになっていきたいか、あるいは今どのようになっているべきだと思うかの「あるべき姿」と比較することで、あるべき姿と現状のギャップ=問題が見えてきます。
そして、その問題を発生させる行動の存在に気づき、問題を解決しあるべき姿に辿り着くために行動を改める必要があることを、被育成者が認識するのを目指します。

ここでのポイントは、「傾聴」と「普段からの観察・対話」です。
認識を共有するための対話を行う土台は、相手の話に耳を傾ける姿勢です。一方的に指導者が話をするだけでは相互の認識共有には至りません。自らどうしたいと思うかを、被育成者から引き出して聴く姿勢が指導者には求められます。
また、被育成者のあるべき姿や現状、成長した側面や継続的な課題について予め把握しておかなければ、上記の対話が十分に行えません。よって、指導者は被育成者を普段からよく観察し、対話する必要があります。部下各人の強みは何でしょうか?前期に成長した点は?中長期/短期で目指している目標は?これらについてぱっと答えられない方は、部下の観察・部下との対話がもっと必要と言えるかもしれません。

ちなみに、上記「認識共有の対話」の要素は、会社経営でも必要とされるものです。経営、マネジメント、問題解決などのテーマの際によく見かけるアプローチと同様でしょう。これを個人単位での取り組みとして促進するのが指導者によるフィードバックだとイメージすれば、その意義も改めて認識できると思います。

【藤本 正雄(ふじもと まさお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
豪州ボンド大学経営学修士課程卒業(MBA)。人材育成専門機関、事業会社の人事部門、組織人事コンサルティング会社を経て現職。経営的視点に加え、産業カウンセラーとして社員個人の視点も踏まえたマネジメントへの示唆にも定評がある。異文化事情にも明るい。人と組織に関するあらゆるテーマに精通し、コンサルティング・研修等で様々な企業・個人への支援を行う。
■担当分野 経営戦略、人事戦略、各種人材マネジメント支援(採用、人事制度、労務管理、キャリア開発、メンタルヘルス等)、テーマ別スキル育成

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