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内閣府『日本再興戦略2016』と中小企業戦略考 ~働き方改革と生産性の向上について~(2)

私事ですが約1か月半に及ぶ北海道出張も無事終わり、関東の気候に再び体を慣らす日々です。さて、前回のコラムでは2016年に閣議決定した『日本再興戦略』のうち、知人の話を例に「生産性革命」の本質は働き方改革でよく議論される勤務時間等の話ではなくその仕事の「意味」が問われているとお示ししたところで稿を閉じました。申し上げたいことの結論は「なぜ働くのか?」の意味が抜けている取り組みの多くは水泡に帰すということです。

もう一度おさらいすると、日本再興戦略とは下記の通り3つの戦略分野からなります。
①新たな「有望成長市場」の戦略的創出
②人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服する「生産性革命」
③新たな産業構造を支える「人材強化」

3月末の新聞記事でも多く取り上げられていた通り、国立人口問題研究所が発表した最新の推計人口では、我が国に於いては2045年まで生産年齢人口は減少を続けます(都心部を除く)。そしてそれは地方から急速に進んでいきます。それもどの先進国も体験したことのない速さです(これほどの急激な人口減少は歴史的に見ても14世紀にヨーロッパ人口の3割近くが亡くなった伝染病であるペストの大流行の時くらいです)。つまり誰も経験したこのない社会が待っているのです。我が国の企業、組織そして志あるリーダーはこの変化に対する答えを自らが導き出していかなければなりません。
この「すでに起こった未来」に危機感を覚えた企業では自動化・無人化されることが分かっている業界(例えばフィンテックによる金融業界など)以外で人材獲得競争が起こっているのは周知のとおりです。しかし事の本質は「人を採る」だけでは全く改善されません。

一方この状況を機会として技術環境≒生き方・働き方環境の変革が推進されることも間違いのない未来です。2020年に通信規格が5Gに移行予定ですが、これにより「そこでしかできない」的な場所の制約はどんどんなくなっていきます。弊社でも今年1月からテレワークを導入していますが、働く場所の解放は生産性向上に寄与します。

しかし技術導入や施策も一手段でしかありません。では「生産性革命」の本質はどこにあるのでしょう。私は「GAFA」と呼ばれる企業群の大切にしている組織文化の共通点と、お客様企業との昨今の取り組み実践を通じてある仮説を持つに至りました。我が国では企業に働く社員の70%もが「やる気がない」とのデータもありますが、これは残念ですが実感として頷けるものです。日本の中小企業の生産性革命の第一の矢はこの領域にあると考えています。生産性を最も下げるものは何か、それは人間特有の「無意味なストレス」です。グーグルとAP通信社が共同で5年間にわたり行った生産性の高いチームの共通点を探る調査で導き出した結果は意外にも「心理的安全性」というものでした。

紙幅の関係上、取り組み事例の詳細は次回に。

【熊田 潤一(くまた じゅんいち) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
高崎経済大学経済学部卒業。教材メーカーにて営業所長、支店長を歴任し、組織変革や営業育成で実績を残す。その後、NTTラーニングシステムズ株式会社、三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ株式会社にて人材・組織開発コンサルティング事業の立ち上げに参画。自らも法人営業、コンサルタントとして多様な企業の課題解決、研修講師、ファシリテーターに従事。主に企業文化創造、人材開発の側面から経営支援を行う。
■担当分野 経営理念及びビジョンの策定と浸透策、人材開発、組織開発、インナーブランディング、営業パーソン育成、次世代リーダー育成等

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