ホーム > コンサルタントによる<知恵のバトン> > フィードバックについて考える(4)

フィードバックについて考える(4)

前回までのコラムで、フィードバックの意義とやり方について取り上げてきました。フィードバックは、相手に対する「事実の通知」+「立て直し」で構成されることを見てきました。今回は、フィードバックの効果について角度を変えて考えてみたいと思います。

<前回のコラムはこちら>

フィードバックについて考える(3)



相手にメッセージを伝えることで、相手の内面で「自身にとっての辿り着きたい目標を明確にし(あるいは再認識し)、それに向かうための正しい行動に励んでいきたい」と強く動機づけられたとするならば、それはとても素晴らしいメッセージだと言えるでしょう。
人々を行動に駆り立てる度合いの大きさについて考えるアプローチの一つとして、「期待理論」があります。期待理論では、動機付けの強さは下記のように説明されます。

動機付けの強さ=目標(それを達成することで手に入る報酬)の魅力×達成(獲得できる)可能性

「試験に合格したらバラ色の○○が手に入る」という報酬への高い期待と、「こういう勉強法で頑張れば試験に合格できるはずだ」という達成可能性の確信の高さが掛け合わされたときに、強い動機づけが生まれ試験勉強に励むというわけです。逆に、「試験に合格しても大したメリットがない」「自分が試験に受かるとは思えない」などと思いこんでいる場合は、行動のエネルギーが生まれないことになります。
そしてポイントは、これらの期待や確信が「主観に依存する」ということです。その目標(報酬)を魅力的と感じるかどうかや自分にどれぐらい達成可能性があると感じるかは、主観に基づくわけです。

先日訪問した企業様で、部下に理想的なフィードバック面談をされているマネージャーの方がいました。業務目標としている取り組みについて、部下がぜひその目標を実現したいと思えるように、それが実現できるとお客様や会社にとってどのような価値をもたらすかを熱心に伝えていたのです。
さらには、自社の職能基準と照らし合わせて部下の行動や技能で強み・弱みの部分を的確に伝え、強み・弱みを今後どうしていきたいか部下に考えさせ、出てきた答えに「そうすれば弱みが補強でき取り組みも上手くいって、目指したい状態にたどり着けるように思えます。頑張りましょう。」「△△の懸念については私が◇◇で協力するので実現できます。」と的確なまとめをされていました。部下が明るい表情で面談の場を後にしたのは言うまでもありません。

この面談のように、客観的な事実を通知しながら、最終的に主観に基づく「目標(報酬)の魅力」「達成(獲得)可能性」を高める言動になっていれば、フィードバックの場におけるメッセージとしては理想的だと言えるでしょう。

【藤本 正雄(ふじもと まさお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
豪州ボンド大学経営学修士課程卒業(MBA)。人材育成専門機関、事業会社の人事部門、組織人事コンサルティング会社を経て現職。経営的視点に加え、産業カウンセラーとして社員個人の視点も踏まえたマネジメントへの示唆にも定評がある。異文化事情にも明るい。人と組織に関するあらゆるテーマに精通し、コンサルティング・研修等で様々な企業・個人への支援を行う。
■担当分野 経営戦略、人事戦略、各種人材マネジメント支援(採用、人事制度、労務管理、キャリア開発、メンタルヘルス等)、テーマ別スキル育成

  • twitter
  • Facebook
  • Google+
  • LINE