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内閣府『日本再興戦略2016』と中小企業戦略考 ~働き方改革と生産性の向上について~(3)

西日本を中心に豪雨による甚大な被害が起きています。我が国は自然災害大国であるわけですが、それ故に有史以来、先人たちが犠牲を払って歴史に残してきた真実もまた多い。歴史から学ぶことで、失わずに済んだ命は無かったのか、と考え込んでしまいます。特別警報の甲斐なくお亡くなりになられた方の数が余りに多く、本当に悲しい気持ちになります。個人として、また多数の方々へモノゴトをお伝えする立場の人間として、改めて自然への畏れを強く意識する必要性を感じています。

前回のコラムでは、「日本再興戦略」3つの戦略(新市場の創造、生産性革命、人材強化)の内、生産性革命について触れました。
世界時価総額トップ企業であるGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)は早くから社員やチームの「生産性」や「創造性」について関心を示していました。中でもグーグルがAP通信社と共同で行った「生産性の高いチームとそうではないチームの決定的要素の違い」を明らかにしようと調査した「プロジェクト・アリストテレス」による報告は非常に示唆に富むものでした。当初プロジェクトが想定していたチームワークの良さや独自の働き方や個々の能力等は生産性を高める決定的要素ではなかった。生産性の高いチームに共通していた唯一の要素は「心理的安全性」であった。この調査で浮かび上がってきたのは「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタルな要素の重要性でした。つまり成功するグループ(チーム)では、これらの点が非常に上手くいっていたというのです(「現代ビジネス」記事参照)。心理的安全性とは、端的に表現すれば「社員がありのままでいられる」状態のことです。

このところ改めて研修講師を務めさせて頂く機会が増えています。どのようなテーマであれ、第4次産業革命、とりわけAIやロボティックス等の新たなテクノロジーが社会・経済そして企業経営をどのようなステージに運ぼうとしているのかに触れます。そこで必ずお伝えしているのが、テクノロジーの進化による「人間能力の減退論」です。技術が進歩すればするほど人間の可能性は拡張されますが、一方で人間は「何か」を自らによってしなくなります。今回の調査は人間が減退させてはならないことを教えてくれます。それはお客さまにせよ、共に働く社員・部下にせよ、「自分を一人の人間として向き合って欲しい」という根源的な人間の欲求を無視してはならないという事です。

【熊田 潤一(くまた じゅんいち) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
高崎経済大学経済学部卒業。教材メーカーにて営業所長、支店長を歴任し、組織変革や営業育成で実績を残す。その後、NTTラーニングシステムズ株式会社、三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ株式会社にて人材・組織開発コンサルティング事業の立ち上げに参画。自らも法人営業、コンサルタントとして多様な企業の課題解決、研修講師、ファシリテーターに従事。主に企業文化創造、人材開発の側面から経営支援を行う。
■担当分野 経営理念及びビジョンの策定と浸透策、人材開発、組織開発、インナーブランディング、営業パーソン育成、次世代リーダー育成等

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