『環境変化と固定観念』

最近、自動運転やAI、IoT、ドローンなどこれまでに聞いたこともなかったようなキーワードが毎日のように新聞の紙面に出現するようになり、時代の変化を感じます。この10年で世の中は大きく変わったと思いますが、次の10年は高い確率で更に大きな変化が起きるのではないでしょうか。

そのような変化が激しい中、企業は存続するために環境に合わせて自らも変わっていかなければいけません。松下幸之助さんが“雨が降れば傘をさす”という言葉を残されていますが、一人の人間であれば雨が降ってきたことに気付いて傘をさすだけの簡単な行為ですが、沢山の人間が集まって運営される組織ではこれが意外と上手くいきません。様々な価値観、人間的なしがらみ、コミュニケーションの欠如などにより、環境変化に合わせてすぐに変わることができないのです。

変化を阻害する要因の一つに固定観念や思い込みがあります。以前、ある物流会社の会議で新しい物流センターの立地が話題になりました。物流業界では物流センターは高速道路インターの近くなど、配送の利便性が高いエリアにつくるということが一つの常識になっています。この時も、業界の常識にならったように高速インターに近い立地の話しか出ていませんでした。

私はこの業界の常識について大きな疑問を持っています。なぜなら過去と現在の経営課題が大きく異なっているからです。具体的に言うと、過去はコスト競争が激しく配送効率を上げることが非常に重要でした。しかし現在の業界の最大の経営課題は人材確保だからです。私のこれまでの経験で同業他社の物流センターが集中する高速インター近くは、人の取り合いが起きており、結果募集する給与も上げざるを得ないケースも増えています。10年前のいくらでも人が取れた時代と現在は全く環境が異なります。それにもかかわらず、以前の常識のまま、固定観念の元に意思決定をしている。多くの企業で意思決定の場に参加していると同様のケースを本当によく目にします。

我々経営コンサルタントは、従業員ほど業界のことを深く知らないからこそ、また組織のしがらみに捉われないからこそ、率直に客観的な視点で物事が見えます。
経営者、経営幹部の方も自分にも少なからず固定観念や思い込みがあるという気持ちを持って素直な心で自分の会社を見てみてはいかがでしょうか。

【平野 薫(ひらの かおる) 】
株式会社小宮コンサルタンツ 執行役員
宇都宮大学卒業。キユーピー株式会社、株式会社帝国データバンクを経て現職。帝国データバンクでは年間約400社の調査を実施。優秀調査営業社員に選ばれ社長表彰を受ける。現在は上場企業や公的機関などの幹部・管理職を対象とした教育研修、および企業戦略の立案など各種コンサルティングに携っている。
■担当分野 経営戦略、財務会計、管理会計、マクロ経済、与信管理

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