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フィードフォワードについて考える

前回までのコラムで、企業活動・職業生活におけるフィードバックの意義とやり方、進める時のポイントについて取り上げてきました。しかし、フィードバックは重要でありながらも、難しいと言われます。今回は、フィードバックを機能させるために着目したい「フィードフォワード」の視点について考えてみます。

<前回のコラムはこちら>

フィードバックについて考える(4)



フィードバックがうまく機能しない要因として、例えば以下のことが挙げられます。

・する側も受ける側も強いストレスを感じる
「忌憚なくものを言う」は、言うは簡単ですが実行はとても難しいものです。相手に対し耳の痛い「事実の通知」+「立て直し」(前回までのコラム参照)を理想的に行うには相応の度量が必要です。受け手の方も、「自身の改善のために感情的にならず真摯に受け止めねば」と身構えて臨むことになります。また、前提として「仕事のやり方やとった行動」と「人格そのもの」を分別できる土台が備わっていなければなりませんが、これが難しいものです。往々にして「仕事のやり方を注意する/意見に反論する」ことと「人格を注意する/人格を否定する」ことを混同しがちです(日本人はその傾向が強いと言われることもあります)。その結果、「する側・受ける側の双方がストレスを感じて疲弊し、嫌な印象の残った面談」などになりやすいのです。

・過去のみに焦点を当ててしまう
フィードバックが「事実の通知」+「立て直し」である以上、過去が起点になります。過去は歴史です。私たちは、よりよい行動ができるようになるために過去に学び反省するべきですが、過去を変えることはできません。私たちが変えられるのは今と未来です。ところが、フィードバックを行うと、「これはよかった、これはダメ、あれはダメ」と過去をつついたダメ出しに終始して終わってしまうことが多いものです。その結果、「何を改善すべきなのか認識したがエネルギーを吸い取られた」「憂鬱な評価面談がまた始まる」など、本来望んでいない状況を生み出すことになりがちです。

私たちがフィードバックを行うにあたっては、過去に縛られないようにし、未来に向けてとるべき行動を明確にしたいものです。そこで一つのヒントとして、「フィードフォワード(これから先に焦点を当てる)」の視点に着目し未来を起点にすることが挙げられます。広義の「立て直し」にはこの「フィードフォワード」の視点が含まれるのですが、私たちは「バック=過去」にとらわれてしまい過去をつつくことのみに終始しやすいのです。「立て直し」の際に「これからどうしたいですか?」と未来について尋ねる質問を意識的に取り入れることで、未来に焦点を当てたフィードバックとして終えることにつながります。フィードバックがする側・受ける側の双方にとって前向きな感覚になるやり取りだと認識されていけば、ストレスも軽減されることが期待されます。

【藤本 正雄(ふじもと まさお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部 チーフコンサルタント
立命館大学産業社会学部卒業。豪州ボンド大学経営学修士課程卒業(MBA)。人材育成専門機関、事業会社の人事部門、組織人事コンサルティング会社(最優秀社員賞を受賞)を経て現職。人・組織に関するテーマを中心に、経営戦略や組織戦略・事業計画の策定・実行支援、事業承継支援、各種プロジェクト・研修等に携わる。産業カウンセラーとして経営者個人や社員へのコーチ等個別支援も行う。 ■担当分野 経営戦略、人事戦略、各種人材マネジメント支援(採用、人事制度、労務管理、キャリア開発、メンタルヘルス等)、テーマ別スキル育成

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