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災害大国に生きる私たちの現状とこれから考え行動すべきことと

ここ数回、本コラムに寄稿するたびに我が国では大きな災害が起きてしまっている。今回も北大阪地震、台風21号、そして北海道胆振東部地震があった。9日に安倍首相は同地震による死者が42人になったと明らかにした。北海道は2年前にも未曽有の台風被害があり、ようやく平静を取り戻した矢先だった。被害にあわれた方には心よりお見舞い申し上げると共に、亡くなられた方、ご遺族には衷心よりお悔やみを申し上げたい。

国も私たち民間企業も、常に最優先に考えなければならないのは人命に関する事である。我が国の人命を考えるとき、過労死やハラスメントなどの人災はもってのほかだが、自然災害とどのように向き合っていくのか、今ほどこのことを強く意識しなければならない時代はない。東日本大震災以後を「災後」として、日本人の意識が変わったとする社会学的な見方もありますが、「絆」が深まっても、またこうして自然災害によって人命が失われることが繰り返されています。

我が国で頻繁に起こる自然災害の一つに地震がある。世界で起こるマグニチュード6以上の地震の凡そ2割は日本で起こるとされている。目下、国の来年度予算の概算要求では、地震予知に106億円(前年比65億円)を要求している(地震調査研究推進本部)。しかし地震が予知できないというのは地震予知連絡会発足時点ですでに分かっていたこと。今回の大阪北部も震度6弱以上の発生予測は可能性0.3%以下だった。さらに政府による「全国地震動予測地図2016年度版」で最も危険と予測された地域とここ数年で起きた震度6弱以降の発生場所は悉く相違している。つまり、歪みが強くなっている国土の上にある我が国ではどこで大地震が発生しても不思議ではないことが自明となっている状況だということ。従って科学的に効果のない予知に100億円かけるなら、危険なブロック塀の撤去や現実的な効果が望めるインフラ整備など国土強靭化にさらに予算を割くべきではないか、そう思うのです。

さらに予算という意味では、地球温暖化に日本はこれまで80兆円を投資してきたという試算もあります(渡辺正東大名誉教授、現東京理科大教授)。しかし今夏の酷暑、熱中症死亡者数の増加、豪雨災害による犠牲者の増加…いったい何に80兆円も使ってきたのでしょうか。「安全なくして安心なし」、私はそう考えます。生命インフラに寄与している建設業や関連企業の雇用を守ることも大切だし、とりわけ最も大切で誰でも今すぐできるのは教育です。東日本大震災から学ぶのであれば、一人も犠牲者を出さず「釜石の軌跡」と呼ばれた鵜住居小中学校と8割以上の児童教師が亡くなられた石巻市大川小学校の悲劇の違いにあった避難、防災に対する教育の徹底。事前意識を高めるだけでも減災でき、人命は救える。この教訓を改めて問いたいと思います。

【熊田 潤一(くまた じゅんいち) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
高崎経済大学経済学部卒業。教材メーカーにて営業所長、支店長を歴任し、組織変革や営業育成で実績を残す。その後、NTTラーニングシステムズ株式会社、三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ株式会社にて人材・組織開発コンサルティング事業の立ち上げに参画。自らも法人営業、コンサルタントとして多様な企業の課題解決、研修講師、ファシリテーターに従事。主に企業文化創造、人材開発の側面から経営支援を行う。
■担当分野 経営理念及びビジョンの策定と浸透策、人材開発、組織開発、インナーブランディング、営業パーソン育成、次世代リーダー育成等

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