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若手社員が辞める理由について五月病から考える

ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか?
ゴールデンウィークの後に「五月病」にかかる新入社員は、今も昔も変わらずいます。「五月病」は正式な病名ではありませんが、思い描いたイメージとのギャップで、無気力な状態になる様子を表した症状のことです。もちろん、退職する理由につながっていくものにもなります。

5月10日の日経新聞の夕刊に「新五月病~もの足りない仕事~」という記事が掲載されていました。これまでの五月病にかかる原因は、「人間関係」や「仕事内容」によるギャップだったが、近年は「仕事のもの足りなさ」が原因になっていると。さらに詳しく言えば、「思ったより地味な仕事が多い」「雑用のような仕事が多い」という印象を持ち、理想に近い仕事を求めて早期に転職に動く傾向にある、という内容でした。

「仕事とはそういうものなのだよ」と言いたくなる経営者やベテラン社員の方々も多いかと思います。その通りで、本人による捉え方の部分が大きいという側面もあります。しかし、そうは言っても上記のような状況が今、現実として起こっている事を考えると、会社としても原因を探り、対応していく必要があると考えます。

そこで、何が原因なのかを考えてみました。結論としては、採用時に「何を目指している会社なのか」・「何年後までにどんな状態を目指すのか」をしっかりと伝えられていないのではないかという事です。

例を挙げてお話すると、野球をやっている「甲子園で日本一を目指すチーム」と「地方大会で1回戦を勝てばいいというチーム」があったとします。当然ながらその2つのチームでは、目指している姿が違うので、練習メニューや量が違えば、求められる成長の速度も違うでしょう。また、チームメイトの意識や考え方も全く異なると思います。
野球という同じスポーツをやっている2つチームではありますが、お互いに対してこう思うのではないでしょうか。「それは自分が目指している野球ではない」と。野球という同じスポーツをやっているのに「目指す姿」が違う事で、そこに所属する人たちは「同じ野球をやっている」と捉える事ができないのです。

遠回りになりましたが、こうした事が会社でも起きているのではないかと考えます。採用活動時に、話として出てくることは、「何をやっている会社か」「どんな仕事内容なのか」「求める人物像は」という事が多いと感じています。しかし、これらも、野球の話のように「目指す姿や状態」が変われば、同じもの(仕事内容)とは捉える事が難しいという事なんです。具体的に言えば、食品メーカーでは「食品をつくって販売する」という仕事内容はほぼ変わりません。しかし「日本一を目指している会社」と「地域で一番を目指している会社」では、同じ食品メーカーでも、実際にやる事や求められるものが変わってしまうという事なのです。入社した社員が「やるからには日本一を目指したい」と思っていたいのに、「うちはそこまで目指していないから」と年配社員に言われ、ガッカリする。そんな光景が目に浮かびます。

こういった事が入社して数カ月経った際に感じる「もの足りなさ」につながっていると考えます。そして、この根本的な原因として考えらえるのは「中長期の事業計画を作成していないから」という事です。それが描けていなければ、「何年後にどんな姿を目指すのか」を伝える事などできません。若手社員が早期に辞めないためにも、中長期の事業計画を作成する事をお勧めします。

【金入 常郎(かねいり つねお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部 マネージャー チーフコンサルタント
早稲田大学社会科学部卒業。基幹システム(ERP)の導入コンサル及び、採用・教育コンサルを経て現職。これまで、基幹システム構築、業務改革、組織活性化、ブランディング、新規事業立ち上げなど様々なコンサルティングやプロジェクトに携る。現在でも、採用や教育など、お客さま先での各種プロジェクトの支援や会計、マーケティング、お客さま第一主義など、各種研修に携わっている。
■担当分野 採用支援、組織活性化、基礎力向上、各種プロジェクト支援

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