企業理念と社員個人の想いの合致

先日、知人主催の「企業人事交流会」に参加する機会がありました。業界・業容・創業年数・規模等が異なる様々な環境下で人事に関わる立場の皆様と、人事評価制度をテーマに意見交換を行いました。その場にて、人事評価制度の運用が比較的うまくいっている(運用上の課題があっても、解決に向けて全社的にポジティブに動けている)好事例の会社と、うまくいっていない(制度が形骸化、課題もあるが放置気味)会社と、双方の話が聞けました。

好事例企業に共通の傾向として、下記2点が言えそうだと感じました。

・人事評価制度の設計・運用以前に、企業理念を浸透・維持発展させるための取り組みが徹底している。

制度というインフラだけ作って運用しても、それだけでは「単にルールを回しているだけ」になり、運用不全となるでしょう。「その制度により会社がどんな状態の組織になることを目指すのか」「その状態にたどり着くために、なぜその仕組みが必要なのか」の想いの部分が浸透することで、「だからこの仕組みを運用したい・するべき」となり、初めてそのハコモノが生きるということです。

・企業理念と社員個人の想い(個人としてのありたい姿)との合致を模索する取り組みが徹底している。

そして、社員個人が自身の職業人生をどのようにしたいのか、個人の職業観と企業理念の合致について考える機会が重要です。これらの合致がないと、たとえ毎朝企業理念の唱和をしても、それが他人事にしかならないでしょう。

好事例企業では、上記2点を深めるための対話機会が十分につくられているのを感じました。それは、人事評価面談の中で多くの時間を充てて行われている場合もあれば、人事評価面談とは別の場で行われている場合もあります。いずれにしても、下記の上から順に成立することで人事評価制度が生きた運用になる、そうでなければ制度運用は単にハコモノを動かしているだけで無意味なものになる、と考えます。逆にうまくいっていないと自覚する企業の参加者からは、自社では下記が乏しいという話を聞きました。

・社員個人/会社組織のありたい姿がそれぞれ明確である
・双方のありたい姿が合致している
・合致したありたい姿を実現させるために制度運用に取り組む

このことは人事評価制度に限らず、人に関わる諸制度、あるいは広く企業活動すべてに通じることだとも言えそうです。例えば近年話題の1on1ミーティングという取り組みにしても、上記の成立なく「単に近況の確認と対策検討の場」に終始しているとしたら、双方時間のかかる負担が増えただけ、の結果にもなりかねません。

「理念が事業活動の基盤」であるべきということは、広く知られている通りです。上記の意見交換機会からその重要性、さらには社員個人の内省との接点が重要であることを認識した次第です。

【藤本 正雄(ふじもと まさお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部 チーフコンサルタント
立命館大学産業社会学部卒業。豪州ボンド大学経営学修士課程卒業(MBA)。人材育成専門機関、事業会社の人事部門、組織人事コンサルティング会社(最優秀社員賞を受賞)を経て現職。人・組織に関するテーマを中心に、経営戦略や組織戦略・事業計画の策定・実行支援、事業承継支援、各種プロジェクト・研修等に携わる。産業カウンセラーとして経営者個人や社員へのコーチ等個別支援も行う。 ■担当分野 経営戦略、人事戦略、各種人材マネジメント支援(採用、人事制度、労務管理、キャリア開発、メンタルヘルス等)、テーマ別スキル育成



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