企業内私塾のすすめ(1)


「企業内私塾のすすめ」と題して、数回に分けて書きたいと思います。

皆さんの会社には社長以下、社員の志で立ち上げられた「塾」がありますか?

(因みに弊社には会長の小宮が立ち上げた「小宮塾」があります。)

なぜいま、この問いなのか。それは歴史を顧みると現在の我が国の状況が江戸末期に非常に似ていると感じるからです。化政文化(文化~文政年間1804~1830)に代表される長期間の国内経済成長があり、その後、隣国である清に於いてアヘン戦争(1840)が起こった時代。当時の“眠れる獅子”は英国によって理不尽に蹂躙される結果となり、翌年にはその情報は幕府中枢も十分に認知していました。それ以降は天保年間に代表される内憂外患が続き(例えば天保の大飢饉であり、大塩の乱であり…アヘン戦争も天保年間)、明治維新を経て我が国は実質アジアで唯一の独立国家※として近代化を成し遂げます。

※タイ王国が独立はしていましたが、実質は欧米列強の植民地政策の一環で緩衝地扱い

この歴史と「塾」に何の関係があるのか、と思われた方もいるかもしれません。端的に申し上げれば、この国体の危機を脱し(完全に脱するのは日露戦争勝利後、その後もVUCAな時代が続きましたが…)、近代化に押し上げた原動力が、民間の「私塾」にその起源を求めることが出来るのです。いまVUCAの時代、我々の変革の原動力は育っているでしょうか。




当時の私塾で有名なのは吉田松陰先生の松下村塾。2年に満たない間に総理大臣を2人も輩出しました。しかし優秀な人財を最も輩出したという意味では緒方洪庵先生の適塾ではないでしょうか。福澤諭吉先生もその塾生であり第10代塾頭も務められました。この他にも日本各地に私塾がありましたが、更にその土台には現在の小学校を超える数の寺子屋の存在があったことも無視できません。




令和時代、現在の「民間の企業志士」の状況はどうなっているのでしょうか。残念なデータが2つ。

一つ目は、「日本の会社員は先進国一学んでいない」

二つ目は、「会社や組織が行う人材育成投資も、他の先進国と比べて圧倒的に少ない。」

OECDのデータによると、25歳以上の社会人が短期高等教育機関へ入学する割合は、主要17ヵ国中で4.6%と最下位だ(OECD平均37.4%)。また、GDP比率における人材育成投資の比率は、0.23%(2001年?2010年、経産省資料)とカナダを除くG7でダントツの最下位(因みにトップはドイツの1.84%、5位のアメリカで1.41%と約6倍の差。)




幕末に来航したペリー提督は当時の見聞から日本人及び一部の志士をこう評しています。
『ペリー提督日本遠征記』(角川ソフィア文庫)より抜粋します。
「日本人は間違いなく探求心のある国民であり、道徳的、知的能力を広げる機会を歓迎するだろう。この日本人の性向を見れば、この興味深い国の前途はなんと可能性を秘めていることか、そして付言すれば、なんと有望であることか!」(次回に続く)
【熊田 潤一(くまた じゅんいち) 】

株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
高崎経済大学経済学部卒業。教材メーカーにて営業所長、支店長を歴任し、組織変革や営業育成で実績を残す。その後、NTTラーニングシステムズ株式会社、三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ株式会社にて人材・組織開発コンサルティング事業の立ち上げに参画。自らも法人営業、コンサルタントとして多様な企業の課題解決、研修講師、ファシリテーターに従事。主に企業文化創造、人材開発の側面から経営支援を行う。
■担当分野 経営理念及びビジョンの策定と浸透策、人材開発、組織開発、インナーブランディング、営業パーソン育成、次世代リーダー育成等

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