How思考に陥っていませんか?


経営計画のミーティングなどをファシリテートする際に、私が気をつけていることとして「How思考に陥っていないか」というものがあります。How思考とは、問題の本質を見極めないまま、解決策に飛びつくというものです。これだと問題は片づくかもしれませんが、進歩がありません。結果として、似たような問題が繰り返されます。

仏典などに「群盲象を評す」という話が出てきます。数人の人が目隠しをして象に触ります。それぞれが、触った感触からどんな生き物か意見を言います。鼻に触れた人は、棒のような生き物だと言い、足に触れた人は臼のような生き物だと言い、尻尾に触れた人は縄のような生き物だと言います。皆、自分の意見こそが正しいと主張し、紛糾します。たしかにそれぞれが言っていることは的確なのです。

しかし、それらは象の一部についての話であって、象全体のことではありません。皆さまのミーティングでも、同じようなことが起きてないでしょうか。もしかすると、象に触ろうともせずに多くの人の意見に従うだけの人もいるかもしれません。

こうした状況に陥らないようにするには、どうしたら良いでしょうか。私が考えるポイントは3つです。

一つ目は、解決策の議論の前に、取り組むべき問題について合意形成をすることです。ここがあやふやなまま進んでしまうことが、非常に多いです。問題がどこで起こっているのか、どうなっていれば解決したと言えるのかについて、議論の時間を割き、問題の全体像を全員が理解すべきです。

二つ目は、最初の段階では結論を保留することです。最終的に欲しいのは解決策なので、解決策ありきの意見が出てきます。そうすると視野が狭くなります。私は、問題の深掘りが浅いなと感じたら「結論をいったん保留してください」とお伝えするようにしています。

三つ目は、意見ではなく「質問」を発することです。「問題はそこじゃないんだよなあ…」という意見が繰り返されていたら、質問をしてみてください。「なぜ、そのように考えたのですか」「他の方法だとどうなりますか」「それだけで十分でしょうか」などの質問です。質問されると相手はそれに答えようとするので、問題の捉え方を見直すことになります。質問した側も相手の返答から真意が見え、自分の捉え方が限定的であることに気づきます。また、周囲もそのやり取りを聞くことで、それぞれがどこから問題を見ているのかが見えてきます。最後の3つ目は特に重要です。互いの質問によって、自分の観点からは見えていなかったことが分かってきます。そうした気づきがあると人は自発的に行動します。

このように問題について合意形成ができたら、何を誰が実行するのかHowを議論し、実行を確実に行うようにします。問題が明らかになっても、何のアクションにつながらないようでは、やはり価値がないのです。どうも無駄な会議が多いとお感じのようでしたら、ぜひ、進め方を見直してみてください。




【馬場 秀樹(ばば ひでき) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
上智大学外国語学部英語学科卒業。大学卒業後、ITベンチャーにてデジタル教材の開発に従事。働きながら大学院で、組織内の協働と人の成長についての研究活動を行う。その知見を活かし、NTTラーニングシステムズ株式会社にて人材・組織開発コンサルティング事業の立ち上げに参画。事業や組織の変革をゴールとしたファシリテーターとして、多数の企業のプロジェクトを支援。その後、大手コンサルティングファームでの中小企業向け人材育成制度の設計、研修講師経験を経て、小宮コンサルタンツに入社。

■担当分野 事業・組織変革、人材育成制度設計、プロジェクト推進、ファシリテーション、各種ビジネススキル研修

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