結果オーライで終わっていませんか?

我が家には、猫が三匹います。名前は、チャイ、キーマ、マサラです。息子も2人います。最近、下の子は、猫を見ると全部「チャイ」。他の二匹のこともチャイと呼び、テレビの中の猫もチャイと呼びます。
彼の中では、まだ猫というカテゴリーができてないようです。ただ、この手のことは、不思議といつの間にかできるようになっていきますよね。彼の中の見えない試行錯誤がいつの間にか形になって現れるのです。そんな彼の成長を発見するたびに「人ってすごいな」と感動を覚えます。
研修などのトレーニング理論の第一人者に、ロバート・パイクさんという方がいます。彼は、5段階の学習レベルを定義しています。第1段階は「意識していないし、できない」。第2段階は、「意識しているのにできない」。第3段階は「意識してできる」。第4段階は「意識しなくてもできる」です。興味深いのは、最後の第5段階目。「意識しなくてもできることを意識レベルに落としこむ」です。
何かを身につけようとするとき、最初は意識する必要があります。そして、意識しなくてもよくなると身についた、ということになります。「じゃあ、その身につけたことを説明できますか?」 というのが第5段階の意味するところです。これは、言葉を獲得した大人だからこそ求められる学習の段階です。つまり、意識を言葉にできる大人の方が、試行錯誤の質を高められるのです。
イチロー選手は、かつてインタビューの中で「自分の体がどのようにして球を捉えているのかを言葉にする意識的な積み重ねが今の自分をつくった」と言っていました。つまり、「意識しなくてもできることを意識レベルに落としこむ」のです。その積み重ねによって、彼が進化する瞬間がありました。彼はメジャーに行ってすぐ、ちょっとしたスランプになり、その時期に振り子打法をやめています。メジャーのピッチャーに対応するために、振り子によってつくるタメを「削除した」と言っていました。試しにやめてみたのではなく、明確な意識を持ってやめたというのです。
成功した企業も大きな躍進が突然起こったように見えるときがあります。しかし、外からは急成長に見えても、試行錯誤をしながら一歩一歩実力を高めてきたことが、結果に表れるのがほとんどです。結果がどうであれ、結果オーライで終わらずに、ちゃんと説明する仕組みや文化を成功企業は持っているのだと思います。



【馬場 秀樹(ばば ひでき) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
上智大学外国語学部英語学科卒業。大学卒業後、ITベンチャーにてデジタル教材の開発に従事。働きながら大学院で、組織内の協働と人の成長についての研究活動を行う。その知見を活かし、NTTラーニングシステムズ株式会社にて人材・組織開発コンサルティング事業の立ち上げに参画。事業や組織の変革をゴールとしたファシリテーターとして、多数の企業のプロジェクトを支援。その後、大手コンサルティングファームでの中小企業向け人材育成制度の設計、研修講師経験を経て、小宮コンサルタンツに入社。

■担当分野 事業・組織変革、人材育成制度設計、プロジェクト推進、ファシリテーション、各種ビジネススキル研修

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