設備投資のポイント(4)

設備投資の意思決定の3つのポイントである『戦略性』の観点、『安全性』の観点、『収益性』の観点のうち、今回は『収益性』の観点について深堀していきます。

『収益性』の観点とは、結果的に儲かるかということです。収益性を評価する上でのポイントは3つあります。一つ目はヨコの視点で評価すること。企業では色んな事業やプロジェクトが並行して進んでおり、それら全体を纏めて一年毎に決算を行い、タテの視点で利益を集計します。しかしそれでは個々の投資案件が本当に儲かるか判断できません。そのため投資評価をするには個々の投資案件を会計期間を超えてヨコの視点で評価する必要があります。二つ目は予想貢献期間全体で評価すること。これは個々の投資案件で評価するということを考えれば当然ですが、投資の経済的効果が及ぶ期間、つまりお金が出て行ったり入ってきたりする期間全体で評価します。3つ目は利益ではなくキャッシュで評価すること。「儲かる」とはキャッシュが増えることなので、儲かったかどうか判断するためにはキャッシュで考えることが基本です。なお年間に得られるキャッシュは当期純利益に減価償却費を足すことで簡易的に算出することが可能です。具体的な評価手法としては回収期間法が有名です。これは投資額を何年で回収できるかで投資する手法です。複数の投資案件があれば回収期間が短いものを採用し、単一の投資案件であれば自社の中で基準期間以内で回収出来るかどうかを判断基準にします。回収期間法は計算が簡単で分かりやすいので長らく主流の投資評価手法でした。しかし欠点としてキャッシュの時間価値が考慮されていないことがあります。キャッシュの時間価値という言葉は聞きなれないかと思いますが投資の世界では今の100万円と1年後の100万円は同じ価値とは考えません。キャッシュは預金や株式投資など運用機会があるため時間差に応じて価値に差が出ます。これをキャッシュの時間価値と言います。キャッシュの時間価値を考慮した投資評価手法で代表的なものに正味現在価値法があります。将来に渡り稼ぐキャッシュを一定の係数を掛けて現在価値に直し、そこから投資額を引きます。そうすることで時間価値を考慮した上でも、儲かるかどうかが判断できます。計算は一見難しそうに思われますが、エクセルを使えば簡単に計算もできます。
複数回に分けて設備投資のポイントをお伝えしてきましたが、設備投資は会社の命運を左右することもあるので手間と時間を掛けて慎重に行うべきです。

【平野 薫(ひらの かおる) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
宇都宮大学卒業。キユーピー株式会社、株式会社帝国データバンクを経て現職。帝国データバンクでは年間約400社の調査を実施。優秀調査営業社員に選ばれ社長表彰を受ける。現在は上場企業や公的機関などの幹部・管理職を対象とした教育研修、および企業戦略の立案など各種コンサルティングに携っている。
■担当分野 経営戦略、財務会計、管理会計、マクロ経済、与信管理

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