設備投資のポイント(2)

前回に続き、企業の命運を左右する設備投資の考え方について説明していきたいと思います。設備投資の意思決定の3つのポイントである『戦略性』の観点、『安全性』の観点、『収益性』の観点のうち、今回は『戦略性』の観点について深堀していきます。

『戦略性』の観点とは、その設備投資が自社の戦略に合っているかどうかということです。企業は自社の強みを活かせる一貫した戦略のもと設備投資を行っていくべきであり、何となく儲かりそうだからといって安易に設備投資をすべきではありません。また大きな投資をすると財務的な面から投資余力が縮小してしまうため中長期の投資案件を検討した上で優先順位を付ける必要があります。
私のお客様でも数年後に旗艦拠点の移転が確定していたにもかかわらず、他の拠点へ大きな投資をしてしまい、結果的に旗艦拠点の設備投資計画が大幅に変更になってしまったということがありました。経営者は事業欲が強い方が多く目の前にある個別の案件が儲かるかどうかということで判断しがちですが、長い視点で何をやりたいのかということを十分に考えるべきです。

意思決定を失敗しないための方法の一つが代替案の検討です。投資の目的は色々あると思いますが、他にその目的を達成させるための方法がないのかじっくり検討する必要があります。例えば、生産のキャパオーバーになりそうだから工場を増設しようという際に、一部の生産を外注に依頼してはどうか?という検討をすべきです。もしかしたらキャパを超えるのは一時期だけだからその方が良いという結論になるかもしれません。
そして更にその投資案を納得性の高いものにするために、その投資はどんなメリット・デメリットがあるのかという議論をすべきです。思いつきで投資して後で「こんなはずじゃなかった・・・」という話をしばしば耳にします。充分議論することで、投資したことを後悔するということを防げます。

私が経営コンサルタントとして意識していることは経営者の意見に敢えて反対意見を述べるということです。特にオーナー経営者の場合、社内で反対意見を言われることが少なく、十分に案件が検討されていないことが少なくありません。だからこそ敢えて否定的な意見を述べることで本当にやるべきかどうか改めて検討してもらうきっかけを作るようにしています。一倉定先生の格言で『アイデア社長は会社を潰す』というものがありますが、特に資金も巨額で一度実行すると元に戻しにくい設備投資は深く考え、検証してから実行すべきです。

【平野 薫(ひらの かおる) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
宇都宮大学卒業。キユーピー株式会社、株式会社帝国データバンクを経て現職。帝国データバンクでは年間約400社の調査を実施。優秀調査営業社員に選ばれ社長表彰を受ける。現在は上場企業や公的機関などの幹部・管理職を対象とした教育研修、および企業戦略の立案など各種コンサルティングに携っている。
■担当分野 経営戦略、財務会計、管理会計、マクロ経済、与信管理

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