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なぜ優秀な人材に辞められるリスクを考えなければならないのか?

前回の私のコラムで、今後企業が考えなければならない新たなリスクとして「優秀な人材に辞められるリスク」があるというお話をさせて頂きました。

<前回のコラムはこちら>

採用環境から考える新たな経営リスク



今日はこの「優秀な人材に辞められるリスク」とはどういう事かについて、お話したいと思います。

「厚生労働省2013年若年者雇用実態調査結果の概況」の調査結果によると「生産年齢人口の15~34歳の全体の47.3%が●●の経験がある」という統計が出ています。この●●に入るのは、何だと思いますか?・・・それは「転職」です。

私が新卒で就職したのが2001年。その当時、今に比べると「転職=良くない事」という印象を持った人が多く、転職活動を行っている人は多くはなかったと感じます。しかしながら昨今では、若手のビジネスパーソンの約半数は、転職の経験があるというのが日本の労働市場の実態となっています。なぜ、転職する人の割合が増えているのでしょうか?

いくつか理由はあると思いますが、以下の事が強く関連していると考えます。

①1998年から始まった金融規制緩和の影響による短期業績を厳しく見る経営環境の変化。
②2000年以降のグローバル化の加速。

これらの影響から、日立製作所やソニー、日産自動車など多くの企業が競争に打ち勝つために、終身雇用制度を解体させ、実力のある人材であれば海外から登用する制度へと移行していきました。その結果起こった事があります。それがリストラ(早期退職の推進)です。45歳以上、もしくは50歳以上の人材を中心に早期退職支援制度をつくり、リストラを推し進めました。

そして、その状況を間近で見ていた若手社員たちは、次は自分たちの番になる事を恐れ、転職も視野に入れながら自身のキャリアプランを検討するようになったのではないかと考えられます。

実は、今の日本とほぼ同じ事が1970年~1990年にかけて起こっていた国があります。それは、アメリカです。1970年代初期まではアメリカ資本主義の黄金時代と呼ばれ、とても景気が良い状態で、企業の多くは終身雇用制度を取っていました。しかしながら、1970年代以降、自由貿易によるグローバル化が進み、その影響を受けたアメリカ企業は業績が低迷。リストラに踏み切ります。また、国の経済を立て直すために、アメリカは金融産業に力を入れ、規制緩和を行い、投資を促す環境を整え、短期の業績を厳しく見る経営環境へと突入します。そして、さらにリストラが進んだのです。それ以降のアメリカは、今皆さんがご存知の通り、転職する事は当たり前という状態になっています。しかし以前はそうではなく、日本と同じような状況だったのです。

という事は、日本も遠くはない先でアメリカとまではいかないかもしれませんが、今以上の人材の流動化が進み、転職する機会がもっと増える可能性があるという事が考えられます。そして、前回のコラムで話した通り、優秀な人材のパイは少なくなっていきます。つまりは『自社の優秀な人材が、他の企業に常に狙われているという状態が普通である』という時代になる可能性が高いという事なのです。

皆さんの会社では、優秀な人材が辞めない工夫、何かしていらっしゃるでしょうか?

次回は、どのような工夫が必要かについてお話していきたいと思います。

【金入 常郎(かねいり つねお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部 マネージャー チーフコンサルタント
早稲田大学社会科学部卒業。基幹システム(ERP)の導入コンサル及び、採用・教育コンサルを経て現職。これまで、基幹システム構築、業務改革、組織活性化、ブランディング、新規事業立ち上げなど様々なコンサルティングやプロジェクトに携る。現在でも、採用や教育など、お客さま先での各種プロジェクトの支援や会計、マーケティング、お客さま第一主義など、各種研修に携わっている。
■担当分野 採用支援、組織活性化、基礎力向上、各種プロジェクト支援

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