働く事の価値や意義とは?

これまで多くの企業に関わる中で育成についての相談を受けるケースが多くありました。今回はそうした経験をもとに、中堅・中小企業に適した今後の育成方針とはどのようなものなのかについて考えてみました。

多くの中堅・中小企業を見てきた中で「人数が少ない」という構造的な点から以下のような特徴があると感じています。
・一人の社員が何役もこなす
・社長・幹部・管理職はプレイングマネージャー
・部下の育成にかける時間が少ない
・上司が育成するための方法を知らない、教えられていない
・会社として育成するための基準・カリキュラムがない

これらは言い方を変えると、多くの中堅・中小企業が「俺の背中を見て育て」という育成方針を据えていたという事だと考えます。「俺の背中を見て育て」というのは、俺のやり方を真似ろ、俺と同じ事ができるようになれ、できなければおまえが悪いという関わり方です。

例えばここに3人の部下がいたとして「おれの背中を見て育て」で仮にうまく育ったとすると、上司と同一の価値を発揮する3人の部下が生まれる事になります。

これで本当に良いのでしょうか。問題ないじゃないかという風に考える方もいるかと思いますが、私はここに異を唱えたいと思います。

高度経済成長期のように「つくれば売れる」という時代、「俺の背中を見て育て」という方針の中で同一の価値を発揮する社員が力を発揮しました。しかしながら、外部環境は大きく変わり、供給過剰でお客さまの要望・ニーズはとても多様化し、且つ変化がより速い時代となっています。今はこの流れに組織としていかに対応していけるかがカギとなります。

大手企業であれば組織が整備されていて各部署が機能を補完しているため、部署内で見た際に同一の価値を発揮する社員がたくさんいる事は問題ないでしょう。しかし、中堅・中小企業の場合は、人数が少ない。同一の価値しか発揮できないというのは、企業の可能性を狭めてしまう可能性が高い。上司と同一の価値が今後もお客さまや市場の価値となるとは限りません。また、上司と異なった価値を発揮する事によって、違うお客さまを得られるかもしれないですし、違った切り口の商品やサービスが生まれる可能性もあります。

そうした際に中堅・中小企業が持つべき育成方針というは、これだと考えます。
・個性を活かした人材を育成する
・強みを活かして弱みを補完する

具体的にどういう事かというと、上司の方々が部下に対して自分と違う価値を否定せずに、受け入れ、認めて、伸ばしていく事が求められます。言い換えると、今後の中堅・中小企業の教育には「個別対応」が必要なのです。個別にしっかりと部下の事を観る事ができなければ、個性を活かす事は当然できません。では、ずっと観ていないといけないのかというとそうではなく、いかに早く部下が自身の個性を発揮できる状態に持っていくかを目標とする事で観る期間を短くする事ができると考えます。

そしてこの事は下記のような人材を育成する事につながると考えます。
・自分で考えて自分で動く人材を育成する

個性が活きるという事は、部下自身もその個性を認識し、発揮している状態と言えるので結果的に自分で考えて自分で動くという事も担保できると考えます。

育成の方針を「個性を活かす・強みを活かして弱みを補完する・自分で考えて自分で動く」と置く事で多くの価値を発揮し、多様性に柔軟に対応できる少数精鋭の組織になっていけると考えます。中堅・中小企業は育成するための時間を多く取る事ができない現状がありますが、現状のやり方のままで、この方針の人材が果たして生まれるのでしょうか。この育成方針を実現するためには、結局「個別対応」が遠回りのようで近道なのではないかと多くの中堅・中小企業の育成の現場を観る中で感じています。

【金入 常郎(かねいり つねお) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部 マネージャー チーフコンサルタント
早稲田大学社会科学部卒業。基幹システム(ERP)の導入コンサル及び、採用・教育コンサルを経て現職。これまで、基幹システム構築、業務改革、組織活性化、ブランディング、新規事業立ち上げなど様々なコンサルティングやプロジェクトに携る。現在でも、採用や教育など、お客さま先での各種プロジェクトの支援や会計、マーケティング、お客さま第一主義など、各種研修に携わっている。
■担当分野 採用支援、組織活性化、基礎力向上、各種プロジェクト支援

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