戦略は文化に従う

初めてバトンを託され、このコラムを執筆させて頂きます。

タイトルを見て、「ん、組織は戦略に従う、或いは戦略は組織に従う、ではないのか?」と思った方もいるかもしれません。企業経営を考える上で、戦略と組織の関係性は未だに議論が絶えないところです。私はここ数年のお客様との仕事から、「戦略は文化に従う」つまり企業文化が主要な競争優位の源泉と考えています。何れにしても、お客さま第一の経営を行う手段に過ぎません。

戦略と組織の関係性について、最初に提言されたのは、経営学の権威であるアルフレッド・チャンドラー氏による「Strategy and Structure(1962年)」に於いてです。この中で有名な「組織は戦略に従う」という考え方を米国の成長企業4社の事例を基に導き出しました。
以降、「戦略は組織に従う(アンゾフ)」、「競争の戦略(ポーター)」、「コアコンピタンス経営」「リソース・ベースト・ビュー(J.B.バニー)」など論考が広がりを見せますが、端的にまとめると、企業価値の源泉及び目的の所在は「会社の外」にあるのか、「会社の中」にあるのか、という議論。

何れも重要な視点で、甲乙切り離して論ずるものではないように感じます。因みにドラッカーの至言を借りれば「組織はそれ自体の為に存在するのではない。生き物のように自らの生存そのものを市場の目的にすることはできない」と言っています。

日本企業に目を向けたとき、この数年の「戦略と組織」に関わる企業の経験は日本のGDPを横ばいに維持したかもしれませんが、20年以上にわたって向上させることはなかったのが現実です。

そんな中、着実に持続的に成長を遂げている企業が少なからずあります。私の担当するお客様の事例を少し。

私のコンサルタントとしての強みは、お客様企業に「良い文化」を育てるお手伝いが出来ることです。私がさせて頂くことは地道ながらシンプルです。先ずは組織に「良い空気」を醸し出させることです。そのために、交わされる社内のコミュニケーションの中に「共通の目的」「仕事のやりがい」「個々の成長」に関するポジティブな共通言語が増えていくことを目指します(手段としては、理念と未来をお題に語り合うなど珍しい手法はありません)。

1~2年この取り組みを愚直に続けると、以下のような4つの効果が確実に得られます。
(1)理念・ビジョンへの共感ないしは解釈の深化(自ずとお客様志向も深化)
(2)働く目的の共有化(嬉しさや成長可能性など幾つかあります)
(3)会社の未来を自分たちで作るという当事者意識を持った社員の増加(創造性の発揮にも繋がります)
(4)人を大切にする風土の拡がり(先ず言葉遣いが優しくなり、笑顔が増えます)

一緒に取り組んで来た経営者の方々のお言葉を借りれば、これらは全て「目に見えない価値」といえます。目に見えないから「他社に真似されにくい」となり、独自の提供価値の源泉と感じているようです。

紙幅の都合上、さらに具体的な事例についてはまた別の機会に。

自社の現状とありたい姿に思い致したとき、改めて戦略と組織の関係を皆さまはどのように考えますか。

 

【熊田 潤一(くまた じゅんいち) 】
株式会社小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部
高崎経済大学経済学部卒業。教材メーカーにて営業所長、支店長を歴任し、組織変革や営業育成で実績を残す。その後、NTTラーニングシステムズ株式会社、三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ株式会社にて人材・組織開発コンサルティング事業の立ち上げに参画。自らも法人営業、コンサルタントとして多様な企業の課題解決、研修講師、ファシリテーターに従事。主に企業文化創造、人材開発の側面から経営支援を行う。
■担当分野 経営理念及びビジョンの策定と浸透策、人材開発、組織開発、インナーブランディング、営業パーソン育成、次世代リーダー育成等

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