和顔愛語

小春日和の休日の午後、ひとりで山手線に乗っていました。電車は空いていて、これから寒くなっていくんだなぁ…なんて、車窓を流れる初冬の景色を見ながら、ゆっくり時間が流れていました。

いつからか車内が混みはじめ、気が付くと私の前に若い妊婦さんが立っていらっしゃいました。
慌てて立ち上がって「どうぞ」と席をおすすめました。

すると、「結構です!」と少し冷たく感じる表情とキツイ口調で断られ、私は一度立ち上がった席にバツ悪く座りなおすことになりました。


断るにしても、もう少し優しく断ってくれればいいのになぁ…、東京ってやっぱり…、なんか気を悪くさせたかなぁ…なんて考えていたら、隣に座っていらした上品なご婦人が次の駅で降りるために立ち上がられた時、そっと私の肩に手を置き、ふと顔を上げた私ににっこり優しく微笑んで降りて行かれたのです。

お隣で私と妊婦さんとの短いやり取りを見ていたご婦人が、「気にしないで!」って言ってくださったような気がしました。ほんの1~2分の出来ごとでしたが、冷たい言葉で感じた寂しい気持ちが、その後の優しい笑顔のおかげで一気に吹き飛び、ほっこり幸せな気分になりました。

日常のほんとうに何気ない一言や、一瞬の表情で誰かを不快にしてしまったり、逆に幸せな気分にしたりするものだとつくづく感じました。私にもできる社会貢献として、和顔愛語<(わげんあいご)和やかで温和な顔つきや言葉つき。穏やかで、親しみやすい振る舞いのこと>を、常に心がけたいと思います。

【高橋 知子】

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