懐かしき思いで


最近、幼少期に住んでいた場所をめぐるのがマイブームとなっています。とある週末、幼稚園の時に住んでいた街に降り立ちました。京王井の頭線の「永福町」というところです。
まず降りるとすぐに目に入るのがラーメン屋さんです。出汁のいい匂いが風に乗ってこちらまでしてきます。そこを通り過ぎて、元住んでいた家の近くまで行ってみることにしました。
よく両親と手を繋いで歩いたその道は、脇に商店街があり、八百屋さんで冬は焼き芋を買ったのを思い出しました。確かおもちゃ屋さんで初めてリカちゃん人形を買ってもらいました。
今はそのような個人商店は見る影もなく、よく見かけるようなチェーン店に多くは入れ替わっていました。
私の住んでいた家もマンションに建て替わっていました。よく自転車を漕いで遊んだ路地も、はてさてこのような場所だったのか、記憶をたどってみても全く違う場所になっていました。
当時からは30年以上も経っているので、それも当然かもしれません。自分の記憶すら、どこかで上書きされているのではと怪しいものです。




駅前のラーメン屋さんで昼食を取ることにしました。何もかも違う世界にきてしまったと思いきや、ここのラーメンの味だけは、記憶の中と同じ味でした。
不思議なもので、とてもスープが熱かったこと、煮干しの出汁の香り、細めの麺の味など、どんどん記憶がよみがえります。
この地に構えて60年のラーメン屋さん。中には親子三代で食べにいらっしゃる方もいるそうです。
正確には何度も味は調整されてきたそうなのですが、ようやく出会えた記憶の中の思い出の味でした。とても繁盛されているお店なのですが、皆さんこの懐かしさを求めて通われているのかもしれませんね。




【三橋 恵子】

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