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「2018年の日本経済を見るポイント」

今年も余すところ半月ほどとなりました。今回のメルマガでは、2018年の日本経済を見る上での注目点についてお話をしたいと思います。

日本経済は、現在戦後2番目の景気拡大を続けており、あと1年ほどこの景気拡大が続くと、2002年2月からの73カ月連続拡大という戦後1番の景気拡大に並ぶ可能性があります。一方、多くの方が景気拡大の実感を伴わないのは、給与がそれほど上がっていないからです。「現金給与総額」というひとり当たりの給与の水準を調べる統計では、今年9月で前年比0.9%増加という、以前に比べればかなり良いところまで来ています。しかし、詳しくその統計を見てみると、非正規の雇用の方たちの給与はここにきて急速に上がっているのです。たとえば、宅配大手のヤマトでは時給2000円という話も聞かれます。一方、正社員の給与はそれほど上がっていないのが実態で、大企業の冬の賞与は前年比マイナスの予想です。

こうした中、私がとくに注目している指標は「消費支出」です。日本では、GDP(国内で作り出される付加価値の合計)の大半を創り出しているのは企業ですが、その6割程度は給与として家計に分配されています。ですから、創り出したGDPを買っている側から見ると、やはり約6割が家計の支出によって支えられています。

その家計の支出ですが、以前よりは少し改善傾向にありますが、それでも前年比でプラスになったりマイナスになったりといまだにとても心もとない状況です。これが、前年比プラスがしっかり続くようになると、景気の拡大は続きます。したがって、家計の支出を表す統計(たとえば「消費支出2人以上世帯前年比」)の数字の動きは慎重に見ていかなければなりません。

ちなみに「小売業販売額」はここ1年ほどプラスを続けています(ただし、10月-0.2)。家計の支出がそれほど伸びないのに、小売販売が伸びている理由は二つあります。ひとつは、家計の支出には、通信費や医療費、教育費のように小売でないものが含まれるからです。もうひとつは小売業販売額は小売の時点でとらえており、そこにはインバウンド消費が含まれるのです。訪日客は前年比で2割程度増加しており、爆買いは少なくなっているものの、ドラッグや化粧品などが売り上げを伸ばしています。

いずれにしても、家計の支出が継続的に増えるためには、「現金給与総額」が増加することが大前提であることは言うまでもありません。そうした意味において、戦後最長の景気拡大となるかどうかは、給与が上がるかどうかにかかっています。
ちなみに日銀の金融政策にも注意が必要ですが、こちらは次回のメルマガで詳しく説明しましょう。

【小宮 一慶(こみや かずよし) 】
経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問、名古屋大学客員教授。
フィールドでの実践をもとに、企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。新聞・雑誌、テレビ等の執筆・出演も数多くこなす。著書130冊超、累計発行部数350万部以上。

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