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中国経済の6.6%成長は疑わしい・・・衝撃に備えよ

私は、このところ講演会などで「衝撃に備えよ」というお話をよくします。日本の大きな貿易相手地域であり、また、現地でビジネスを行う日本企業が多い中国経済の減速が顕著だからです。春節に今年も多くの中国人訪日客を街角や電車の中で見かけたので、中国経済はある程度大丈夫と思っておられる方も多いかもしれませんが、変調をきたしていることに注意が必要です。日本人としては、あっという間に経済規模で抜かれたこともあり、以前の感覚から日本経済に与える影響を軽く見ている人も少なくないでしょうが、インバウンド消費も含め、中国経済への依存度が格段に増えていることは間違いありません。今後の訪日客数も含め、中国経済の動きからは目が離せない状況です。

昨年末あたりからの報道では、毎年伸び続けた自動車販売も昨年は28年ぶりのマイナスとなり、消費もさえません。貿易収支の黒字額は大きいですが、それでも前年比で10%以上の落ち込みです。海外投資についても、中国人の投資で急上昇していたオーストラリアの不動産もとうとう下落が伝えられるようになりました。ニューヨークのマンハッタンでも中国人が高級コンドミニアムを売り始めているという噂を聞きます。日本でもそろそろ同様の傾向がみられるのではないでしょうか。

国の経済力を表すGDP成長率は、2018年は6.6%と発表されました。中国政府が目標としていた6.5%はかろうじてクリアしましたが、上記の状況を鑑みても、にわかには信じにくいでしょう。さらに、日本や他の先進国でもひと月以上かかって出る統計が、日本の人口の10倍以上いて、国土面積も広大な中国で20日程度で出ること自体が数字の信ぴょう性に疑念を持たせてしまいます。
さらに、長期的にも一人っ子政策のせいで労働人口が減少しており、それだけでも、成長率が鈍化していることは明らかです。それでも「日本よりずっと成長している」という意見も聞きますが、以前の10%程度からの成長率の鈍化により、市場としての魅力はあるものの、成長期待で中国に投資をしてきた海外企業の投資の鈍化が懸念されます。ましてや、統計がいい加減ならなおさらでしょう。「米朝貿易摩擦」は中国経済に間違いなくマイナスに働きますが、そもそも本質的に成長率が鈍化しているという認識が必要で、そのことにより、不動産バブルやシャドウバンキングなどの矛盾点が一気に噴出するきっかけとなる可能性があります。

リーマンショック級までの景気下落があるかどうかは不明ですが、経営コンサルタントとしてひとつアドバイスしておきますと、急な景気変動による業績下落時には、手元流動性(現預金)だけが頼りです。「お客さま第一」はとても大切ですが、危機時に頼りになるのは、自社でコントロールできる手元流動性だけです。今後の状況が読みにくい時には、普段より多めの手元流動性を持っていたほうが安全です。金利も安く、今なら資金調達しやすいので、十分な手元流動性がある企業は別として、「保険」だと思って資金を厚く持っていたほうがいい時期だと思います。

【小宮 一慶(こみや かずよし) 】
経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問、名古屋大学客員教授。
フィールドでの実践をもとに、企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。新聞・雑誌、テレビ等の執筆・出演も数多くこなす。著書130冊超、累計発行部数350万部以上。

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