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イチロー選手の「自分なりの努力」とアウトプット

イチロー選手が現役引退を発表しました。皆さんもそれぞれの思いでそのニュースをお聞きになられたと思います。私も、とても寂しく、残念に思いましたが、イチロー選手からは多くのことを学んだ方も多いと思います。もちろん、私もその一人です。

イチロー選手で思い出すエピソードは、もちろん、メジャーリーグ最多安打記録や10年連続200本安打など、世界最高水準の選手が集まるメジャーリーグでも、他者が簡単に抜けない多くの記録を打ち立てたことですが、私が最も感心していたのは、そういう大記録を打ち立てた裏に、球場には誰よりも早く行って練習をしていたということです。

イチロー選手は、引退会見で「自分なりの努力」をしていたと語っていますが、その努力も並大抵のものではなかったと思います。イチロー選手とは別の日本球界を代表するある選手も、球場には誰よりも先に来て、他の選手が練習に来る頃には、一旦練習を切り上げ、その後、いかにも後でやってきているようなふりをして練習を再開しているという話をあるテレビ局のアナウンサーから聞いたことがありました。やはり、人から賞賛を浴びる人は、「自分なり」とは言いながらも、人よりもずっと練習をしているのです。私も多くの人を見てきましたが、才能が開花する人というのは、人より努力することができる才能も持っているとつくづく感じます。

「自分なりの努力」ということに関して、多くの人は「自分なりの努力」をしていると思います。しかし、その際にとても大切なことは、アウトプットをきちんと意識しているかどうかということでしょう。自分なりの努力をしていても、人から喜ばれない、あるいは評価されないようなアウトプットしか出せないのなら、それはやはり、努力が足りないのか、努力の仕方を間違っているのではないでしょうか。十分な結果が出ていない時には、素直に謙虚にそのことを反省すべきだと思います。努力することは立派で尊いことですが、自分なりの努力をしているからそれでいいということでは決してないのです。人が評価するようなアウトプットを出してこそ、その努力が本物だということです。イチロー選手や先に述べた日本を代表する野球選手も、ずっと草野球でプレイし、大した記録も残せていなかったのなら、あれほど多くの人を感動させることはなかったし、人から評価や感謝されることもなかったでしょう。アウトプットを意識した努力が必要なのです。

そしてもうひとつ。人から評価され、喜ばれることはとても大切ですが、イチロー選手がバッターボックスに立った時も同じだと思いますが、その時点では、打つことだけに集中していたと思います。私たちも、アウトプットを意識して日ごろの努力を怠らず、そして仕事をする際には、目の前の仕事に集中し、その完成度を高めることが、結果的に人を喜ばせ、評価につながるという認識も大切ですね。

【小宮 一慶(こみや かずよし) 】
経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問、名古屋大学客員教授。
フィールドでの実践をもとに、企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。新聞・雑誌、テレビ等の執筆・出演も数多くこなす。著書130冊超、累計発行部数350万部以上。

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