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20日発表の1-3月のGDPと消費増税

米中貿易摩擦の先行きがとても不透明となり、東京市場の株価も下落基調となっていますが、安倍首相は微妙な考えを持っているのではないでしょうか。消費税増税を延期する口実となるからです。

そんな中で、5月20日に1-3月のGDPの発表があります。エコノミストの中でも、予想が割れており、8割ぐらいの人は、実質成長率のマイナスを予想しています。後で説明しますがなかなか予想が難しい状況ですが、私自身もマイナスではないかと見ています。

予想が難しい理由はいくつかあります。「鉱工業指数」の「生産指数」では、1-3月では、2月は少し持ち直したものの、前四半期である10-12月期に比べると、総じて落ちています。(前四半期と比べている理由は、GDPの成長率の計算は、「前年同期比」ではなく「前四半期比年率換算」だからです。前の四半期と比べるのです。)

さらには、内閣府が調査している「街角景気(景気ウォッチャー調査)」も、好不調の境目である50を切った状態が長く続いており、とくに、3月は44.8と、ここ2年ほどなかった悪い数字です。この「街角景気」は、景気に敏感な人たち(タクシーの運転手さん、店頭の販売員さん、ホテルのフロントマンたち、中小企業経営者など)に聞き取り調査をしているものです。

一方、GDPに影響を及ぼす貿易収支(輸出と輸入の差)は、赤字続きなものの、10-12月期に比べて赤字幅は縮小しています。これはGDP成長率にはプラスに働きます。

微妙な動きをしているのは、GDPの55%程度を支える家計の支出です。「消費支出、2人以上前年比」の数字を見ると、前年比で10-12月は総じてマイナスだったのが、今年に入り、1月、2月は前年比でプラスに転じました。しかし、先にも述べたように、GDPの成長率は、前年比ではなく、前四半期比で計算するため、前四半期比で見ると、わずかにマイナスという予想です。

こうしたことを総合してみると、1-3月の成長率はマイナスなのではないかと私は推測しています。

なぜ、この数字が大切かというと、もしマイナス成長なら、10月1日に控えた消費税率上げを取りやめるきっかけになる可能性があるからです。先に、萩生田官房副長官が、消費税率上げ再再々延期に言及し、「個人的な意見」と弁明しましたが、彼の立場上、私にはとても個人的意見とは考えられません。安倍首相の意をくんで観測気球を上げたのではないでしょうか。財務省の代弁者である麻生副総理兼財務大臣としては是が非でも消費増税をしたいところでしょうが、憲法改正が悲願でその雲行きが怪しくなっている現状、安倍首相としては、消費増税を延期し、参議院選、あるいは衆参同時選で勢いをつけて圧勝したいという気持ちが強いと考えられます。

企業側の対応もあり、また、選挙の日程を考えれば、消費税率上げをやるかやらないかの判断の期日は、今月末か来月初あたりと考えられ、そういったところでは、20日朝8時50分に発表されるGDPの数字がプラスかマイナスかに大きな注目です。

【小宮 一慶(こみや かずよし) 】
経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問、名古屋大学客員教授。
フィールドでの実践をもとに、企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。新聞・雑誌、テレビ等の執筆・出演も数多くこなす。著書130冊超、累計発行部数350万部以上。

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