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感謝するということ

毎日を過ごしていると、いやなことがたくさんあります。多くの人を見てきましたが、長い間人生を豊かに暮らしている人は、それらに前向きに対応していると感じます。その根底は「感謝」ではないでしょうか。
私は、仕事柄多くの経営者とお会いしますが、経営者と10分も話をすれば、その経営者がうまくいくかどうか、ひいては会社がうまくいくかどうかが分かります。一倉定先生ではありませんが「会社には良い会社、悪い会社はない。あるのは良い社長、悪い社長だけだ」からです。

経営者と話して何を見ているかというと、うまくいかない理由を他人や環境のせいにしているかどうかということです。「部下が悪いからうまくいかない」「景気が悪いから売れない」など自分以外に責任を転嫁する人は、たいていうまくいかない人です。『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』(J.Cコリンズ著、日経BP社)にもあるように、飛躍的に会社の業績を伸ばした経営者は「うまくいったときには窓の外を見て、失敗したときには鏡を見る」、つまり、うまくいったときは他者や神様のおかげだと感謝し、失敗したときには、自分のどこが足りないかを反省できる人が成功するリーダーだということなのです。松下幸之助さんも同様のことをおっしゃっています。

もちろん、現状に不満を持つ人は多いでしょう。とくに成功する人は理想主義的ですから、現状に多くの不満があるはずです。しかし、それを他人や環境のせいにするのではなく、その状況を自分でどのように切り開いていくか、自分として何をしていかなければならないかを考えることが大切なのです。とくにリーダーには組織を変える権限が与えられているわけですから、組織をより良くするために、自分として自分の責任で何をするかということを考え、行動することが大切なのです。

こうした心境になるには、感謝の気持ちが大切だと私は考えています。自分の置かれている状況、起こったことに感謝の気持ちを持つのです。もちろん、いろんなことが起こりますから、なかなかすべてのことに感謝の気持ちを持てないのも現実です。それでも、感謝の気持ちを持とうとするのです。いやなことでも、この先の人生のために「経験させてもらっている」、「勉強になる」と思えば感謝できます。また、8月にはマスコミなどで太平洋戦争の話がよくもち出されますが、その時代に生きた人たちと比べれば生きていることだけでも有難いことなのです。

私事で恐縮ですが、私は毎年8月に人間ドックを顧問先さんの病院で受けます。今年も大きな異常はありませんでした。13年前にこのドックで右肺に初期のがんが見つかり右肺の4分の1ほどを切除しましたが、それ以降は、毎年ドックで異常がなければ「1年生きるパスポートをもらった」と考えるようになりました。生きていること自体に感謝の気持ちを持つということも大切だと思っています。

【小宮 一慶(こみや かずよし) 】
経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問、名古屋大学客員教授。
フィールドでの実践をもとに、企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年百回以上の講演を行う。新聞・雑誌、テレビ等の執筆・出演も数多くこなす。著書130冊超、累計発行部数350万部以上。

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