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リーダー自身の目標設定


最近私はよくリーダーたちに「自分自身の目標を持ってください」というお話をします。もちろん自分が預かる組織全体の目標を達成することがリーダーにとっては何よりも大切な目標です。そして、その目標達成に貢献するために、リーダーが自分自身の目標を持たなければならないということなのです。もちろん、部下がやれることをやるということではありません。リーダーだからこそできることで、全体の目標達成に貢献するということです。

ずいぶん前に、旭化成の常務で子会社の社長をされていた能村さんという方に私は大変お世話になりました。いろいろなことを教えていただきましたが、一番勉強になったのは彼の姿勢です。能村さんが社長をされていたのはライフ&リビングという生活製品を扱う会社でした。サランラップやジップロックを扱っていました。

能村さんのデスクに年初に伺うと、毎年、壁に都道府県の境だけが入った真っ白な日本地図が貼られてありました。何のためかというと、その年に全県を回ることを能村さんは自分に目標として課していたのです。生活製品を売っていますから、全県のスーパーなどのお客さまを回るのです。それも、スーパーでは、侍の格好をして店頭に立って自社製品を売るのです。

地方に行けば、大会社の偉いさんが来る、それも侍の格好をして店頭に立ってサランラップなどを売るわけですから、地方のテレビや新聞が取材に来ることもあります。そうすれば、お客さまのスーパーにとっても大きな宣伝効果があります。能村さんは、それを中国でもやりました。中国では侍はまずいというのでピエロの格好でやったそうです。大うけだったと言っておられました。あるときに、いつもと同じようにスーパーの店頭で侍の格好をして自社製品を売っていたら、小学校3年生くらいの女の子が寄ってきて「おじちゃん、リストラされたの?」と言われたことがあったと、うれしそうに私に話してくれたことをよく思い出します。

リーダーである皆さんに侍の格好をしろとは言いません。ただ、数値目標だけを立てて、部下のお尻を叩くことを上司の仕事と思っていたら大間違いです。それでは体の良い「ピンハネ」です。繰り返しますが、部下の仕事をしろと言っているのでもありません。リーダーとして自分がどう貢献するのが、目標達成に一番いいかを考えてそれをやるのです。それでこそ「指揮官先頭」です。

能村さんがスーパーの店頭で侍の格好をして販売するのを、自分もやらされるのではないかと部下は嫌がったそうです。もちろん、部下にそんなことはさせません。リーダーがやるからこそ価値があるのです。部下から見て「リーダーとは大変な仕事だ」と思われてこそ、本当のリーダーだと思います。「リーダーになったら部下のお尻を叩くだけで楽そうだな」と思われるようではリーダー失格です。

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