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2020年の日本経済、世界経済


今年も残すところわずかとなりました。2019年の日本経済は戦後最長の景気拡大を続けましたが、力強さはまったくありません。12月13日に発表になった日銀短観を見ていても、非製造業はいまだにそこそこの調子を保っているものの、製造業は結構厳しい状況です。大企業の製造業の景況感は「良い」と「悪い」のちょうど境目あたりまで落ちました。中小企業は「悪い」状況が続いています。景気を肌で感じるタクシーの運転手さんや小売店の店頭に立っている人たち、ホテルのフロントマンなどを調査対象とする「街角景気」も2018年初から「悪い」と答える人たちの割合が「良い」と答える人を上回り、最近では「悪い」の比率が上がっています。そんな中で10月に消費税が上がったのです。
そういう状況で2020年の日本経済を予測するのですが、私は前半は厳しいものの、その後持ち直すのではないかと思っています。それは2つの理由によります。
ひとつは、米国の景気が拡大速度を上げるのではないかと予想するからです。米国では、今年の5月から9月まで長短金利が逆転するいわゆる「逆イールド」が起こりました。これが続く場合には、その後、景気後退が高い確率で起こります。それを避けるためにトランプ大統領は、中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)に利下げを行うように、ツイッターなどで強力にプレッシャーをかけました。それに屈するようようにFRBは0.25%の利下げを7月、9月、10月と3度行いました。合計で0.75%の利下げを行ったわけです。
もともと、米国経済は、2%台の成長を続けており、消費者物価上昇率も1%台後半、失業率も直近では3.5%と歴史的低さです。つまり、インフレ懸念もなく、雇用も堅調で成長率もまずますという状況で3度の利下げを行ったのです。「予防的」とFRB議長はコメントしていますが、大統領に屈したと言って良いでしょう。来年11月3日に大統領選挙を控えるトランプ大統領としては、何としても国内景気をさらに良くしたいということがあるからです。
そして、その利下げは当たりました。昨年夏前から少し停滞気味だった住宅価格が再び上昇し始めたのです。長期金利が下がったことが大きいのです。住宅産業は経済への波及効果が大きいですから、GDPの7割を支える個人消費の上昇も期待されます。
景気の下支えという点では、米中摩擦も緩和の方向に向かうでしょう。事実、12月15日に発動予定だった制裁第4弾は延期となりました。これは米国経済だけでなく中国経済にとっても朗報です。両国経済に大きく依存する日本経済にももちろんプラスに働きます。それを先取りするように、株価は上昇しました。
もうひとつ、日本経済を支える要因は、逆説的ですが、財政出動です。先に述べたように、日本経済があまり良くない中、政府は総額26兆円、政府の支出だけでも約13兆円規模の財政出動を考えています。日銀が手も足も出ない中、景気を支えるには財政出動しかないのですが、短期的には景気を下支えします。
しかし、長期的には、人口減少や高齢化による社会保障費の膨張、財政赤字のさらなる悪化など、対応しなければならない大きな課題は捨て置かれていることも忘れてはならないのは言うまでもありません。
今年も一年、お世話になりました。有難うございます。来たる2020年が皆さんにとって、また日本にとって良い年となることを心より祈念しています。




【小宮 一慶】

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