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和倉温泉の加賀屋さんはすごい!

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3月に社員旅行で石川県和倉温泉の加賀屋さんに行きました。プロが選ぶ旅館日本一を26年連続で受賞しているというホテルです。ただ、正直言って私はそれほど期待していなかったのです。私は仕事がら、日本各地を毎日のように旅行しており(今も新幹線の中です)、また、年に4、5回は海外にも行くことから、これまで結構良い旅館やホテルに泊まってきました。そして、当社は東京と大阪で定期的にセミナーを開催していますが、大阪の会場はザ・リッツ・カールトン大阪をここ6年間くらいは使っています。大小合わせて年に16回セミナーを開催しており、これまで100回程度リッツ・カールトンをセミナーで使いました。私の宿泊回数も最近は減りましたが、それでも最低年5回ほどは今でもリッツ・カールトンに泊まっていますし、以前はもっと泊まっていました。当社はある意味リッツ・カールトンのヘビーユーザーで、「日本一」と言われるレベルをある程度は知っているので、それほど期待をしていなかったのです。しかし、その期待は加賀屋さんで良い意味で完全に裏切られました。

加賀屋さんに行く前に、当社のスタッフが「温泉に行くなら卓球」と言いだしたので、幹事が加賀屋さんに問い合わせたら「あいにく加賀屋には卓球台がない」ということでした。ちょっとがっかりしながら加賀屋さんまで行ったのですが、着くとすぐ、担当の仲居さんから「卓球台を用意しました」とのこと。聞けば、2キロほど離れた所に姉妹旅館があり、そこの卓球台を持ってきてくれたとのことです。おそらくトラックで持ってきたのでしょう。卓球場ももちろんないので、大広間を金屏風で仕切って、当社のための「卓球場」を作ってくれました。

これはちょっと感動モノでしたが、しかし、この程度ならリッツ・カールトンでもやるなと正直思いました。私が感動したのは実はこのことではありませんでした。翌朝6時半ころ、大浴場に行って部屋に戻ると、担当の仲居さんから部屋に電話があり、お茶をお持ちしますと言うのです。ずっとお客さまを見ていないとできないこのサービスもすごいと思いましたが、何よりも驚いたのは、そのときに日経新聞と読売新聞を何気なく持ってきてくれたのです。朝から地元紙は部屋に届けられていたのです。それに加えて、二紙持ってきてくれました。日経新聞は私が昨日読んだものを机の上に置いていたので、それを見て持ってきてくれたと思いましたが、読売は偶然かもしれないがすごいと感心しました。

私は普段、朝、家で読売新聞を、通勤途中で日経新聞を読むのを日課としています。そのことをいくつかの本に書きましたが、ひょっとしたら、私たちが泊る前に仲居さんは私の本を読んでいたのかもしれません。偶然かどうかはいまだに分かりません。しかし、お客さまのことを深く知るということが「お客さま第一」の根本ですが、とにかくすごいと思いました。サービスの安定感やこちらの安心感が他の旅館やホテルとは格段に違うのです。

そして、旅館を出るときも、またすごいと思いました。玄関でおかみさんや男性の常務さんが見送ってくれたのですが、常務から「卓球台はどうでしたか?」と聞かれました。おかみさんからは、昨日の夕食の場で「仲居にお気遣いいただき有難うございます」と言われました。仲居さんに渡したチップのこともすべてトップに伝わっているのです。コミュニケーションの良さに驚きました。そして、おかみさん以下、大勢のスタッフが車が見えなくなるまで見送ってくれましたが、280室、宿泊者数700名を超える大旅館ですから、何時間もそうやって外で見送っているはずです。仕事に対する真摯さと感謝の気持ちがないとできないことだと思います。まったく、脱帽でした。

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