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2017年の日本経済展望

今年の日本経済は、トランプ政権の経済運営に大きく左右されると私は思ってい
ます。結論的には、前半は比較的好調、後半は波乱含みではないかと考えていま
す。

トランプ新大統領は、1月20日に就任します。皆さんもよくご存じのように、昨
年11月の大統領選挙で民主党のクリントン氏に勝利しましたが、今回の大統領選
挙では、米国では、繁栄を享受する人たちと、それに乗り遅れた人たちの間で、
大きな分断が起こったと言われています。この両者に受け入れられ、かつ分断を
修復していく一番良い方法は、経済成長、それも、乗り遅れた人たちの所得が上
がるような経済政策です。

トランプ政権は、大幅な減税とインフラ投資を公約として掲げています。これら
には、財政赤字の拡大が避けられませんが、大統領就任から100日間は、通例は
議会との「ハネムーン」期間でもあり、新大統領の経済政策に対しても、よほど
過激なものでない限り議会も寛容だと考えられます。また、議会としても、堅調
な景気拡大は望ましいことです。

さらには、予定通りに景気が拡大すれば、中央銀行であるFRBも「年内3回」とし
ている利上げを行いやすくなります。トランプ政権としても、過度のインフレを
望むわけではありませんから、FRBの金利上げをトランプ政権の経済運営がうま
くいっていている「お墨付き」として、むしろ歓迎すると考えられます。

そうなれば、日米金利差が拡大し、円安に振れやすくなりますから、日本のグ
ローバル企業にとっては好影響が出ます。トランプ政権は、ドル高(=他国の通
貨安)への不信を示す可能性もありますが、米金利が順調に上がるのであれば、
少なくとも現水準かあるいはもう少し円安に振れる可能性が出てきます。

このことは、昨年のOPEC減産合意による原油価格の上昇とともに輸入物価の上昇
をもたらし、昨年春以来、長くマイナスが続いている日本の消費者物価も、よう
やく今年の夏前にはプラスに転じるのではないかと考えられます。この点におい
ては、賃金が上昇するかに注目です。いずれにしても、米景気が好調で、かつ円
安である限り、日本経済も比較的安定すると考えられます。それが年前半は続く
のではないかと期待も込めて考えています。

一方、年後半は大きな波乱含みです。トランプ新政権の経済運営が予定通りに進
まなければ、保護主義的な色彩を強めるでしょう。NAFTA(北米自由貿易協定)
の見直しや対中強硬路線です。特に、通商代表部(USTR)代表に強硬派のロバー
ト・ライトハイザー氏の就任が決まっていることも気がかりです。

また、フランス、ドイツでは大統領選や総選挙があります。フランスでは、右派
が台頭したり、ドイツではメルケル首相の与党の苦戦が伝えられています。イタ
リアの不良債権問題やポピュリズム政党である「五つ星運動」の躍進も気がかり
です。

中国経済もかつて4兆ドルあった外貨準備が3兆ドルぎりぎりというところまで激
減しており、不安定さを増しています。

米国経済が予想ほど伸びず、欧州や中国で波乱が起きれば、一気に円高というシ
ナリオも考えられます。

トランプ大統領の政策や米経済の状況、さらには欧州の政治の状況から目が離せ
ない一年になりそうです。

(詳しくは、今週リリース予定の日経ビジネスオンラインをご覧ください。日経
BPネットでの連載が、日経ビジネスオンラインに移行しました。)

【小宮 一慶】

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