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あなたの挨拶、相手に“届いて”いますか。

先日ある企業様で、事務職の女性社員の方を対象にした、ビジネスマナー研修を実施させていただきました。

とても真剣な表情で、熱心に受講してくださった20代半ばの女性Aさん。研修で、お客さま対応のロールプレイングをしていただいたところ、真面目で誠実な印象は伝わるのですが、挨拶や話す声のトーンが低く少し暗く感じられます。せっかく相手に配慮した言葉遣いをしても、その気持ちが伝わってこないのです。


Aさんのよさをお伝えした上で、こうアドバイスをしました。

自分の口の周り10センチくらいのところだけで話していること。挨拶も言葉も、相手に届けるものだから、相手に届くように話さなければAさんの優しい気持ちも気遣いも伝わらず、とてももったいないこと。

具体的には、姿勢や顔の向き、視線を指導し、相手との距離を変えて声をかける練習を行ないました。

研修の最後、参加者お1人ずつに、研修での気づきを話していただきました。

練習はしたものの、まだAさんは声のトーンも低く、口の周りだけでボソボソ話す口調のままで話し始めました。「練習をやってみて、自分の声がモゴモゴしていて、口の周りだけで話していると教えていただいたので・・・」と話し始めた途中で、「あっ!今私、口の周りだけで話していましたね」と自分で気づかれたのです。

「そうですよ、よく気がつきましたね。その気づきを、“私”に届けるように話してもらえますか?」とお願いしたところ、急にAさんは、姿勢を正し、顔を上げ背筋を伸ばしました。そして、口を大きく開いてはっきりと話し始めたのです。最後に「ありがとうございました」と私に届くように発してくださった言葉は、ロールプレイングで見せた、相手に伝わらない挨拶とは、まったく違うものになっていました。


「挨拶なんて誰でもできる」と思っている方は、意外に多いのです。しかし挨拶言葉を口に出したら、挨拶ができるわけではありません。相手の存在を認め、言葉と声に、心をのせて相手に届けるということは、相手の心のミットにボールを投げるようなもの。その状況や相手によって、ふわっと優しいボールを投げた方がいい場合もあれば、ストレートをビシッと投げ込んだ方がいい時もあるでしょう。そしてそのボールは、相手に届くものでなければキャッチボールは始まらないのです。

あなたの挨拶は、ちゃんと相手に“届いて”いますか。

【井出 元子(いで もとこ) 】
株式会社小宮コンサルタンツ
岩手大学卒業。株式会社リクルート入社後、出版・編集現場のIT化に携わった経験をもとにトレーナーとして転職、Apple認定トレーナー・日本印刷技術協会認定DTPエキスパートとして出版・印刷・音楽業界等でのIT指導や技術セミナーの講師を行なう。移動体通信業界では、販売員の育成や接客コンテントの審査員等を行なう一方、社内インストラクターの育成に当たる。
2008年小宮コンサルタンツ入社、小宮の秘書を務める一方、新人研修やビジネスマナー研修の講師を務める。財団法人、金融機関、医療法人、サービス関連企業にて、新入社員研修、ビジネスマナー研修を実施。秘書技能検定1級。

■ 担当分野 接遇マナー、電話応対、秘書、新人・若手研修
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