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気づくこと、行動すること

お茶出しという仕事の深さを、再確認する出来事がありました。

その日は、東北からお越しくださったお客さまと、弊社にてお打ち合わせをしていました。東京は雪の予報が出ていましたが、雪ではなく雨が降る一日でした。

「東京は雪だと聞いていたのに、雨だったんですね。雪なら傘いらないかなと思ってきたんですが。」私も東北出身者ですので、「東北の人は、多少の雪なら傘持たずに歩きますよね」などと雑談し、その後少々長い打ち合わせとなりました。

打ち合わせが終わり、お客さまがお帰りの時のことです。

応接室を出て、入り口までお送りすると、入り口にはお客さまに差し上げるためのビニール傘が用意されていました。会話の中で、傘をお持ちでないことは聞いていましたので、お帰りの際には傘をお渡ししなければとは思っていました。しかし、私が用意するまでもなく、すでに新品の傘の用意がされていたのです。

実は、打ち合わせ中にお茶を出してくれたスタッフが、私達の会話を耳にして、お客さまが傘をお持ちでないことに気がつき、お帰りになる前に用意してくれていたのです。

お客さまは、とても驚き、喜んでくださいました。私は打ち合わせ中、一度も席を立ちませんでしたから、こっそり他のスタッフに指示する暇もなく、それなのになぜ傘が用意されているのだろうと、一瞬不思議に思われたことでしょう。翌日、お客さまから「おもてなしの心が身にしみました」と丁重なお礼のメールをいただきました。


お茶出しという仕事ひとつ取っても、ただお茶を出すだけで終わる人と、ちょっとした情報や変化に気がつき、対応できる人がいます。

お茶を出すという名目で、応接室に入る貴重な機会を得られるのですから、室温は快適だろうか、備品や資料等必要なものはないだろうか、お客さまが緊張されていたりして、お声掛けが必要ではないだろうか、などいち早く気づき、対応するための重要な仕事が、お茶出しなのです。

お茶を出すことだけが仕事と捉えていると、それ以外のことは、自分には関係のない他人事となってしまいます。気がつく人は、自分の周りで起こることを他人事ではなく、自分事として捉えています。自分事だからこそ、自分ができること、やるべきことを察知しようとアンテナが立つのです。

ビジネスマナーの原点は、相手の身になって考える優しさと思いやりを持ち、その気持ちを形にして伝えることです。自分事として関心を持って見聞きし、そこから「気づく」こと、そして「気づいたら行動する」ことが、人とのよりよい関わりを生み出すのです。

【井出 元子(いで もとこ) 】
株式会社小宮コンサルタンツ
岩手大学卒業。株式会社リクルート入社後、出版・編集現場のIT化に携わった経験をもとにトレーナーとして転職、Apple認定トレーナー・日本印刷技術協会認定DTPエキスパートとして出版・印刷・音楽業界等でのIT指導や技術セミナーの講師を行なう。移動体通信業界では、販売員の育成や接客コンテントの審査員等を行なう一方、社内インストラクターの育成に当たる。
2008年小宮コンサルタンツ入社、小宮の秘書を務める一方、新人研修やビジネスマナー研修の講師を務める。財団法人、金融機関、医療法人、サービス関連企業にて、新入社員研修、ビジネスマナー研修を実施。秘書技能検定1級。

■ 担当分野 接遇マナー、電話応対、秘書、新人・若手研修
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