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聞き返された時に試される、相手の立場に立った答え方

会話をしていて、「えっ?」と相手から聞き返されることがありますよね。
聞き返されたら、皆さんはどうしていますか?

先日ある場所で、朝食をいただいた時のことです。お料理が運ばれる前に、まず小さなグラスに入った液体が出されました。

「なしとおすのじゅーすです」

思わず「えっ?」と聞き返してしまいました。何のことか、分からなかったのです。スタッフの方はもう一度、「なしとおすのじゅーすです」と同じ言葉を、同じ言い回しで繰り返し、下がっていかれました。

ゴクッと飲んで、少し考えてやっとこれが、「梨とお酢のジュース」だと分かりました。食前に、健康を気遣って出してくださっているのでしょう。ジュースはとても美味しかったのですが、「なしとおすのじゅーすです」と繰り返しても、音だけを聞いて瞬時にこの言葉を理解するのは難しいだろうと思いました。

案の定、隣の席にいらしたお客さまは、2度聞き返していました。それでも、「なしとおすのじゅーすです」と繰り返されると、お客さまとしても、これ以上聞きようがなく、困ったような諦めたような様子でした。スタッフの方が下がってから、「これ、飲むの?」とひそひそ話をしていました。せっかくわざわざ出してくださっているのに、もったいないことです。そして、なぜこのスタッフの方は、聞き返されているのに同じ言葉を繰り返しているのだろうと、思わずにはいられませんでした。


相手に聞き返されたということは、

1.相手に自分の言葉が聞こえなかった
2.聞こえたけれど、聞き取れなかった
3.聞き取れたけれど、意味が理解できなかった

の3つの理由が考えられます。「えっ?」と聞き返されて、まず最初に考えるのは、1.または2.です。

1.相手に自分の言葉が聞こえなかった
自分の声が小さかったり、周囲が騒がしかったりして、相手に声そのものが聞こえなかったのかもしれません。また、相手の方がお耳が遠いこともあるでしょう。その時は、最初よりも声のボリュームを大きくしなければなりません。広い場所や、相手と距離が離れている場合も、すぐ隣の人と話す時よりは、大きな声を出す必要があります。

2.聞こえたけれど、聞き取れなかった
声は充分聞こえているけど、何を言っているのか聞き取れないこともあります。単語が聞き取れなかったり、単語と単語の区切りが分からないと、言っている言葉を認識できません。ゆっくり話す、口を大きく開けて言葉をはっきり話す、単語の間を空け、間を取る等をして、言葉が聞き取れるように話します。「なしと おすの ジュースです」と、単語の切れ目が分かるように発声すれば、聞き取りやすくなります。

実際には、1.と2.の対応を同時に取る場面が多いでしょう。声のボリュームを上げつつ、ゆっくり、はっきり話すことで、理由がどちらであっても、伝わりやすくなります。

3.単語は聞き取れたけれど、意味が理解できなかった
そのままの音では、意味が理解しにくい場合は、言葉を言い換えたり、言葉を補う必要があります。相手が理解できる言葉を探りながら、別な言葉で言うなら、どう言うか。その物をどう説明するか。なぜ今、これを伝えているのか。様々な角度から、相手が理解できるまで、表現を変えて伝えていきます。

話し言葉では、「漢語」より「和語」を使った方が、意味が伝わりやすい場合が多いです。「休日は観劇に行きます」と言うより、「休みの日はお芝居を観に行きます」と言った方が、耳で聞いた時は理解しやすいものです。

同音異義語も、耳で聞いた時に理解しにくいものです。「シジ」と聞いただけでは、「指示」「支持」「師事」「私事」の判断はつきません。会話の文脈から理解できる場合はよいのですが、新しい話題や、会話の最初には、言い換えや補足が必要です。

「なしとおすのじゅーすです」ですが、例えば「くだものの梨と、お酢を使って作りました、身体によいジュースです。」と言い換えてみてはいかがでしょう。さらに「よろしければ、お食事の前にお召し上がりください。」と補足すれば、状況が理解でき、なぜこれが、お料理が出る前に供されたのか、理解しやすくなるのではないでしょうか。

そして、最も大切なことは、言い換えた後で必ず、相手の表情を確認することです。理解できていない時、人は、首を傾げたり、眉間にしわを寄せたり、口をへの字に結んだりして、分からないというサインを出しています。そのサインをしっかりキャッチすれば、相手が理解していないのに、そのまま場を離れてしまうような、冷ややかな対応を取らずに済みます。

反対に、「分かった」という時、人は、頷いたり、目をパッと見開いたり、笑顔になったりするものです。最後は相手の、この表情を見届けて、会話を終えたいものです。

【井出 元子(いで もとこ) 】
株式会社小宮コンサルタンツ
岩手大学卒業。株式会社リクルート入社後、出版・編集現場のIT化に携わった経験をもとにトレーナーとして転職、Apple認定トレーナー・日本印刷技術協会認定DTPエキスパートとして出版・印刷・音楽業界等でのIT指導や技術セミナーの講師を行なう。移動体通信業界では、販売員の育成や接客コンテントの審査員等を行なう一方、社内インストラクターの育成に当たる。
2008年小宮コンサルタンツ入社、小宮の秘書を務める一方、新人研修やビジネスマナー研修の講師を務める。財団法人、金融機関、医療法人、サービス関連企業にて、新入社員研修、ビジネスマナー研修を実施。秘書技能検定1級。

■ 担当分野 接遇マナー、電話応対、秘書、新人・若手研修
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