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クッション言葉を駆使して、相手を思いやる気持ちを伝える

【秘書:井出 元子】

秘書の仕事では、相手に何かをお願いする時や、やむを得ずお断りしなければならない時、厳しいご意見をいただきお詫びをする時も多々あります。言いにくいことをお伝えしなければならない時に、できるだけ相手に不快感を与えず、受け容れやすい表現をする際に使うのが、「クッション言葉」です。

「お名前を書いてください」⇒「お手数ではございますが、お名前をお書きください」

このように相手に何かをお願いする言葉の前につけることで、直接的で強い表現を避け、相手に配慮した丁寧で優しい印象を与える効果があります。相手に対してへりくだった気持ちを伝えることもできるので、その印象は全く違ったものになります。

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秘書の仕事柄、様々な場面で適切にクッション言葉を使用できるよう、そのバリエーションと言い方(口調)には工夫をしていますが、最近の若手社員の方々は、あまりクッション言葉を使えていないようです。

クッション言葉を添えずに依頼や断りを伝えてしまうと、「○○してください」「○○できません」という、一方的な表現になりがちです。特に文字だけでやり取りするメールや、声だけのコミュニケーションとなる電話では、冷たく事務的な印象を相手に与えてしまい、ともするとクレームにもつながりかねません。またクレーム対応時にも、適切なクッション言葉がないと「お名前を教えてください」「発送日はいつですか」「商品はどういう状態ですか」等、状況確認のための質問がまるで尋問のように繰り返されます。これではさらにクレームを悪化させてしまうでしょう。

依頼の際には、「お手数ですが」「ご多忙とは存じますが」など、相手に負担を強いることへの配慮の気持ちを込めたクッション言葉を使います。そして、後に続く依頼文は、「○○してください」ではなく、「○○していただけますでしょうか」という“お願い”“お訊ね”をする形に変えるのがポイントです。そもそも「○○してください」は命令形ですから、相手は強制されている印象を受け、不快に感じるのです。相手に気持ちよく引き受けてもらうには、命令表現は「お願い・お訊ね」する形でお伝えするのが、相手の立場に立った配慮ある表現と言えるでしょう。

お断りの場面では、「申し訳ございませんが」「ありがたいお話ではございますが」「身に余るお言葉ですが」など、せっかくご依頼やお誘いをいただいたことに対する感謝と、ご要望に応えられないことへの謝罪の気持ちを込めたクッション言葉を使います。その場合、後に続く言葉は、「○○できません」という拒絶表現ではなく、「○○いたしかねます」「ご期待に添いかねます」という柔らかい言い回しに変えてお伝えします。

質問の場合には、「失礼ですが」「お差し支えなければ」「詳しくお聞きしたいのですが」など、答えていただくことへの配慮をクッション言葉で表します。また、進言や情報提供をする場合には、「すでにご存じとは思いますが」「差し出がましいこととは存じますが」など、へりくだった気持ちをクッション言葉で伝えています。

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クッション言葉のない、依頼や断りには、自分の言いたいことだけを一方的に伝える傲慢さが透けて見え、相手を不快にさせてしまうのでしょう。自分の言いたいことを言う前に、ちょっと立ち止まって、その言葉を受け取った相手の気持ちを思いやる。その思いやりを表す小さな行動が、クッション言葉なのです。

【井出 元子(いで もとこ) 】
株式会社小宮コンサルタンツ
岩手大学卒業。株式会社リクルート入社後、出版・編集現場のIT化に携わった経験をもとにトレーナーとして転職、Apple認定トレーナー・日本印刷技術協会認定DTPエキスパートとして出版・印刷・音楽業界等でのIT指導や技術セミナーの講師を行なう。その後、移動体通信業界に転じ、販売員の育成や接客コンテントの審査員等を行なう一方、社内インストラクターの育成に当たる。2008年小宮コンサルタンツ入社、小宮の秘書を務める。秘書技能検定1級。
■担当分野 接遇マナー、電話応対、秘書、新人・若手研修

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